医療事務とは?仕事内容や特徴、1日の流れまで徹底解説

2022.03.29 医療事務

医療事務は、病院やクリニックで事務作業を担当する、人気の職種です。医療分野に携わりたい人や、子育てが一段落した人など、これから医療事務を目指そうとしている人も多いのではないでしょうか。こちらでは、医療事務の仕事内容や特徴、おすすめの資格取得などについて解説します。

医療事務とは?

医療事務とは、その名の通り病院やクリニックといった医療機関で働く事務職のことを指します。一般的な企業等の事務とは違い、医療保険制度に関する専門知識が必要とされ、病院やクリニックの受付や会計業務だけでなく、診療報酬請求業務なども担います。
医療事務スタッフには、その施設の顔として受付窓口で患者さんやそのご家族を迎える接遇スキルやマナーはもちろん、会計などでは正確でスピーディーな対応が求められます。
年齢や経験に関係なく仕事をすることができることから、特に女性に人気の職業の一つとして挙げられます。

医療事務の仕事内容

医療事務の主な仕事内容について見ていきましょう。

1.受付業務

病院やクリニックの受付窓口で、来院した人の応対をします。医療事務と聞くと、この業務をイメージする人も多いのではないでしょうか。
受付では、患者さんから診察券や保険証を受け取り、来院の目的を伺ったり受診科への案内を行います。初診の患者さんに対しては、名前や住所などの個人情報を記載するカルテを作成したり、診察券を発行したりすることもあります。
また、他院からの紹介状や画像データなど、治療に重要な情報を受け取るのも医療事務の仕事なので、紛失したり情報が漏れたりしないように徹底した管理をしなければなりません。
患者さんから質問を受けたり、電話応対をしたりすることもあり、一口に受付業務といっても行う仕事は多岐にわたるのが特徴です。

2.会計業務

診察や治療を終えた患者さんは、医療費の支払いをする必要があるのですが、その対応は医療事務が行います。患者さんが受けた診察や治療をもとに、必要な額を計算します。計算はコンピューターが行いますが、入力内容に誤りがないか確認し、患者さんを待たせないよう、正確でスピーディーな対応が求められます。
そして、預かっていた診察券などと一緒に会計の明細書や薬の処方箋などを患者さんに渡します。患者さんにとって診察や治療を終えて最後に行うのが会計です。そのため、事務的に見送るのではなく「お大事にどうぞ」など心を込めて言葉をかけるとよいでしょう。

3.レセプト業務

医療事務の専門性が求められるのが、診療報酬を請求するレセプト業務です。
日本では国民皆保険制度により、加入している人が医療機関で医療行為を受ける際は、最大で医療費の3割を患者自身が負担し、残りの7割は健康保険組合などを運営する保険者が負担する制度となっています。そのため、医療機関は患者さんが窓口で支払っている費用だけではなく、健康保険組合などを運営する保険者からの支払いを受けて収入を得ているのです。
請求を行う際に必要となるのが、レセプトと呼ばれる診療報酬明細書の提出です。レセプトを作成・点検し、健康保険組合などに提出するまでの一連がレセプト業務になります。

レセプト業務は毎日行うのではなく、基本的には月に一度行います。当月分のレセプトは翌月10日までに請求しなければならないため、月末から月初にかけては忙しくなることも多いでしょう。

4.クラーク業務

クラーク業務はわかりやすくいうと、病棟や外来全体における秘書のような役割をこなす仕事です。基本的には病棟のナースステーションに常駐して、入退院に必要な書類や入院患者カルテの管理、お見舞いに来た方への案内などを行います。入院患者のいる比較的大きな病院で行われる業務になります。

医療事務の給料事情について

令和2年度の賃金構造基本統計調査(※)によると、医療事務の平均年収は442万円、平均年齢42.3歳とされています。平均年齢がやや高いことから、この平均年収額は在籍年数の多いベテラン医療事務や管理者の給与も反映されていると考えられます。
一般的には平均年収300〜350万円がボリュームゾーンではないかといわれています。

正社員の場合はボーナスや残業代が支払われることもありますが、勤務先や状況によってさまざまなので事前に確認をしておくようにしましょう。

(※)令和2年度賃金構造基本統計調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chinginkouzou.html

医療事務の1日の流れ

医療事務のスタッフはどのような流れで働いているのでしょうか。例としてクリニックにおける1日の仕事の流れを簡単に紹介します。同じクリニックでも勤務先によってさまざまなので、参考程度にご覧ください。

クリニック開院前

多くのクリニックでは、診療が始まる前に院内の清掃を行います。医療現場は清潔さが求められるため、患者さんの目につく箇所だけでなく、隅々まで気を配って清掃をします。
また、当日予約のある患者さんの診療内容や検査項目などを確認し、診療がスムーズに進むための準備を行います。
出勤者が揃ったら朝礼を行い、院内連絡の伝達、朝の挨拶を済ませて午前の診療に備えます。

8:30 午前の診療開始

来院した患者さんの診察券や保険証を受け取り、受付業務を開始します。診察の前に問診票の記載をお願いしたり、行う検査の説明をしたりすることも医療事務スタッフが行います。特に朝一番は患者さんが集中することもあるため、診療開始とともに慌ただしくなることも多いでしょう。
診療を終えた患者さんには、明細書を発行して会計業務を行います。
午前中に受付をした患者さんの会計を済ませたら、午前の業務は終了となります。

12:30 昼休み

一般的なクリニックは、午後の診療開始が14時または15時頃から開始となるため、昼休みの時間は比較的長く確保されていることもあるようです。ですが午前の診療が長引くこともあるため、必ずしもゆっくりと昼休みが取れるとは限らないので要注意です。

14:00 午後の診療開始

午前の診療と同じように、患者さんの受付、会計業務を中心に行っていきます。

18:30 診察終了

午後に受付をした全ての患者さんの会計が済んだら午後の診察は終了となります。
しかし、受付した患者さんの診療が終わらなければ、受付時間を過ぎても会計を終えるまで業務は続きます。ほとんどのクリニックが、最後まで残る人(遅番)を交代で回しています。診察終了後は、会計の最終チェックや忘れ物の管理、データのバックアップなどを行ってから業務終了となります。
月末月始はレセプト業務のため忙しくなることが予想されます。できるだけ残業を発生させないためにも、合間時間を使ってレセプト業務を進めておくとよいでしょう。

>医療事務になるために必要なことは?ソラストが解説

医療事務の給料事情

医療事務の給料事情について、勤務形態による給料の違いや、ボーナス、社会保険の有無について見ていきましょう。

正社員の場合

正社員として勤務した場合、一般的な平均月収は15万4千円~23万円程度といわれています。地域や施設の規模によって差はありますが、看護師や検査技師といった専門職と比べるとやや低い水準にある傾向です。
また、大卒か高卒かで給料が変わる場合もあります。 長く勤めれば、主任や部長といった役職に就くこともあるでしょう。その場合、役職手当が付くので、月収30万円以上になることも想定されます。

派遣社員の場合

派遣職員として勤務した場合、一般的な時給は1000円~1700円と言われています。平均月収10〜20万円程度になりますが、勤務する日数や時間によっては正職員と同程度か、もしくはそれよりも高めの月収を目指すことも可能です。大学病院など規模の大きな病院では、高い時給が支払われる傾向があります。

パートタイムの場合

パートタイムの場合、時給900円以上が一般的な相場です。施設によっては高く設定されていたり、勤務年数ごとに時給がアップしたりすることがありますが、高めの月収を得るにはそれなりの時間を働かなければなりません。しかし、パートタイムは時間の融通が利きやすいため、自分の生活スタイルに合わせて働きたい人にはとっては好都合です。

ボーナスや社会保障について

基本的にボーナスは、勤め先の経営状況に左右されます。経営状況が悪ければ金額が下がってしまったり、支給されなかったりする可能性も十分あり得るため、安定しないことも少なくありません。正社員に対しては支給される施設が多いですが、なかには元々支給がない場合やパートにも支給されることもあります。
ボーナスが支給される場合は、年に2回、夏と冬に支払われるのが一般的です。

正社員であれば、社会保険に加入することが可能です。しかし、派遣社員やパートといった短時間の勤務では、勤務時間、勤務先の規定などにより、社会保険加入が不可の場合があります。
勤め先がどのように社会保険の規定を設けているのか、事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

退職金について

退職金は就職先によって異なります。多くの場合、3年以上勤務すると、勤続年数に応じて退職金が支給されますが、なかには退職金制度そのものがない職場もあります。金額も職場によって異なるため、気になる場合は事前にチェックしておくようにしましょう。

>気になる!医療事務の休み事情は?ソラストが解説

医療事務の知識・スキルが活かせるシチュエーション

医療事務の知識・スキルを活かせる勤務先について見ていきましょう。

病院

病院は入院設備であるベッドの数が20床以上ある施設のことを指します。大学病院や総合病院といった大きな施設では、1日の外来患者数もかなり多いため、医療事務の人数も多く確保されています。
また、大きな病院では「受付」「会計」「請求」といった業務が分業化されていることも多く、全ての業務をこなす必要がないこともあります。そのため、一つの業務に特化したスキルを活かしながら活躍している医療事務スタッフが多いのが特徴です。

クリニック

クリニックは入院できるベッドを有していない、またはベッドの数が19床以下の医療機関を指します。病院と比べると施設の規模は小さく、働いている医療事務の人数も少ない傾向にあります。地域にある〇〇整形外科、△△内科といった小さな診療所がクリニックに該当します。一般的に、クリニックで働く医療事務スタッフは「受付」「会計」「請求」全ての業務をこなす必要があり、病院のように分業化されていないのが特徴です。そのため、医療事務業務全般の知識、スキルを活かして働くことができる環境といえるでしょう。

保険薬局

保険薬局(調剤薬局)は、医師が出した処方箋をもとに、薬剤師が患者さんに薬を提供する施設を指します。医療事務スタッフは受付・会計業務に加え、薬剤師のサポートや薬剤の発注をする場合もあります。医療事務の知識やスキル以外にも、処方箋を読み取るスキルや薬剤の知識なども求められるのが特徴です。

医療事務になるにはどうすればよい?資格取得は必要?

医療事務として働くために、資格や学歴は必要ではありません。未経験者や無資格者であっても目指すことは十分可能です。
しかしレセプト業務をはじめ、専門的な知識が求められることも多いため、経験者や資格保持者のほうが就職や転職の際に有利になることが多いといえるでしょう。特に正社員として働きたい場合、そもそも正社員での求人が少ない傾向にあることもあり、未経験者では困難なことが多いので資格を取得しておいたほうが賢明でしょう。

医療事務のおすすめ資格

医療事務として働くには、資格を有していたほうが就職に有利ですし、業務もスムーズに行うことができるでしょう。しかし、医療事務の資格試験はさまざまな民間団体が主催しており、数多く存在しているため、どれを選択すればよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
ここからは、医療事務として働くためにおすすめの資格試験を紹介します。

医療事務技能認定試験

医療事務技能認定試験は、技能認定振興協会(JSNA)が主催している民間資格です。医療事務に従事するために必要な知識や、算定ルールの基本的な部分の知識を有していることの証明になります。この資格を取得することで、医療保険制度・診療報酬算定の仕組みを理解し、受付や治療費の計算、カルテ管理など幅広い業務をスムーズに遂行することができるでしょう。受験資格は特に設けていないため、年齢や経験に関係なく誰でも受験することが可能です。幅広い基礎力があることの証明になるため、はじめて医療事務にチャレンジする方には非常におすすめです。

>医療事務技能認定試験について

医療事務技能審査試験

医療事務技能審査試験は、一般財団法人日本医療教育財団が主催している民間資格です。合格者にはメディカルクラーク®の称号が付与されます。医療機関の受付業務やレセプト業務など、医療事務として必要とされる基本的な能力が審査される資格です。以前までは1級、2級と分かれていましたが、現在は一つに統合されています。受験資格は特に設けられていないため、医療事務としての経験がなくても受験することが可能です。

医科 医療事務管理士®​技能認定試験

「医科 医療事務管理士®」は、日本で最初の「医療事務の資格」として、幅広く医療機関に認知された資格です。
患者様に対する接遇力はもちろん、カルテの内容をきちんと理解し、正確に治療費を計算する知識とスキルが試される試験です。医療保険の制度やしくみに精通し、正確に診療報酬算定とレセプト点検ができる、ワンランク上の技能試験と言えるでしょう。


>医科医療事務管理士®技能認定試験

診療報酬請求事務能力認定試験

公益財団法人日本医療保険事務協会が主催している民間資格です。厚生労働省が唯一認定している資格であり、医療事務の資格の中でも難易度の高い資格となっています。医療事務の専門的な仕事である、診療報酬請求の実務を正しく行うための能力を認定するもので、どちらかというと初心者よりも実務経験を積んだ人が受験することが多いのが特徴です。

初心者や未経験者へのおすすめ

これから医療事務を目指す人や、未経験者におすすめなのが、ソラストの「医療事務講座スタンダードコース」です。
最短1ヶ月・標準3ヶ月で修了できるコースとなっており、技能認定振興協会(JSNA)が主催する医療事務技能認定試験に対応できる内容を学ぶことができます。
初心者でも医療事務として働くために必要となる、医療保険制度の知識や、診療費の算定方法について、基礎からしっかりと身につけることができるでしょう。

>ソラスト 医療事務講座スタンダードコースについて

医療事務のやりがいとメリット

医療事務は人気のある職種といわれていますが、その背景には医療事務特有のやりがいやメリットが存在します。医療事務のやりがいやメリットについて具体的に見ていきましょう。

患者さんから感謝の言葉をかけられる

医療事務のやりがいの一つに、患者さんから「ありがとう」「おかげでよくなりました」といった感謝の言葉をかけられることが挙げられます。医療機関には、身体や精神に何らかの症状を抱えて、不安な気持ちで来院される方が大勢います。医療事務スタッフは直接的な処置や治療は行えないものの、患者さんの応対に関わることが多く、医療従事者の一員としてなくてはならない存在です。特に小さなクリニックでは、患者さんとの距離も近く、直接感謝の言葉をかけられる機会も多くあるでしょう。

環境が変わっても就職しやすい

医療機関は全国各地に配置されているため、住む場所が変わったとしても就職・転職をしやすい傾向にあります。仕事内容も施設によって多少の違いはありますが、共通している部分も多いため、すぐに慣れて働くことができるでしょう。特に結婚や出産、マイホーム購入といった人生の転機で環境が変わることが多いですが、すぐに職を見つけやすいのが医療事務のメリットです。

未経験者でも働ける

医療事務の求人を見ると、未経験者でもOKと記載された案件を多く見かけます。医療事務は経験がなくても、働きながら知識やスキルを身につけていくことができる仕事なので、誰でもチャレンジしやすいというのも魅力の一つに挙げられます。
もちろん、専門的な知識やスキルを持っているに越したことはありませんが、笑顔で患者さん応対ができたり、コミュニケーション能力が高かったりすれば高い評価を得られることも多いでしょう。

働き方が選択できる

医療事務は、正社員に限らずパートや派遣社員といった雇用形態でも働くことが可能です。そのため、自分のライフスタイルに合わせて働き方を選択しやすいということも医療事務のメリットに挙げられます。特定の曜日だけ働いたり、時短勤務をしたりと、子育て中の人や家庭と仕事を両立させたい人にとっても働きやすい職種であるといえるでしょう。

>ソラストが解説!医療事務は未経験者でも就職できる?

医療事務に向いている人の特徴

医療事務に向いている人の特徴について具体的に見ていきましょう。

相手のことを思いやれる人

医療事務スタッフは事務的な仕事だけでなく、患者さんと直接関わる場面が多くあります。
医療機関に来院する患者さんは、心身に何らかの不調を抱え、不安な気持ちでいることがほとんどです。そのため、医療事務スタッフには患者さんの気持ちを理解した思いやりのある対応が求められます。
また、病院やクリニックが混雑していれば、患者さんの不安や不快感も増してしまうこともあります。そんな時でも患者さんのことを思いやり、気遣いのできる対応ができる人は医療事務に向いているといえるでしょう。

コミュニケーション能力が高い人

事務と聞くと、1人で黙々と作業をする業務を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、医療現場はチーム医療が基本です。医師や看護師ともコミュニケーションを取りながら、患者さんの情報共有をすることも求められます。
そのため、コミュニケーション能力がない医療事務スタッフは、仕事をスムーズに遂行することが難しいかもしれません。患者さんだけでなく、ほかの医療従事者との連携が図れるよう、うまくコミュニケーションを取りましょう。

まとめ

医療事務は、医療保険制度や診療報酬請求業務など、専門的な知識を要する仕事です。医療現場に携わり患者さんの応対をするため覚えることも多いですが、やりがいのある魅力的な仕事です。
未経験者や無資格者でも十分チャレンジできるため、育児がひと段落した人にも人気の職種となっています。これから何か仕事を始めようとしている人、医療分野で働きたいと思っている人はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

ソラスト教育サービスは、日本で初めて誕生した医療事務専門養成機関です。長年蓄積してきたノウハウを活かし、医療・介護分野での初心者向けの基本講座からスキルアップ講座まで幅広いラインナップを揃え、学習から資格取得、就業までをバックアップしています。

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