医療接遇とは?医療事務に必要な接遇について解説

2022.02.20 医療事務

医療機関において、医療事務スタッフは患者さんへ直接的な応対をします。そこで重要となるのが、患者さんへのおもてなしである「医療接遇」です。今回は医療事務に必要とされる医療接遇について解説します。

医療接遇とは

「接遇」とは、業務を行ううえで、おもてなしの心を持って相手に接することをいいます。
おもてなしは、さまざまな業種において重要視されており、医療機関においても例外ではありません。特に医療事務スタッフは、患者さんと直接コミュニケーションをとって対応することが頻回にあるため、相手の気持ちに寄り添った接遇が求められます。
医療接遇とは不安や苦痛を抱く患者さんが何を求めて、何を望んでいるのかを察知し、その気持ちに寄り添えるような対応であり、医療機関ならではの接遇のことをいいます。  

医療接遇と一般的な接遇との違い

接遇は一般的なサービス業にも求められるスキルですが、医療機関で求められる医療接遇は少し意味合いが異なります。
飲食店やホテルなどを訪れるお客さまは、「楽しみ」「期待」といったプラスの気持ちを持っていることがほとんどです。一方、医療機関を訪れる患者さんは、何らかの病気やけがを抱えており「不安」「心配」といったマイナスの気持ちでいることが多いでしょう。このように、応対する相手の状況や心理が違うということが、医療接遇と一般的な接遇との大きな違いといえます。
サービス業では、お客さまの満足度を重視して質の高い接遇を求められますが、医療接遇では、患者さんの不安や悩みに寄り添うことが最も重要です。  

医療事務に求められる医療接遇

日本医師会によると、診療所におけるインシデントの発生源として、接遇対応による原因が33.6%であるとされています。さらに、そのうちの65.1%が窓口対応によるトラブルであるとされており、医療事務が関与する可能性が高いことが示唆されています。(日本医師協会「医療従事者のための医療安全対策マニュアル」H19年)
医療事務は、患者さんと直接関わる機会が頻回なため、その分トラブルが発生することも多いかもしれません。トラブルを防ぐためにも、適切な医療接遇を周知しておくことは非常に重要なのです。では、具体的にどのような点に注意すればよいのでしょうか。5つの主なポイントを紹介します。

<接遇の5原則>

医療接遇においても、接遇の基本的な要素である「身だしなみ」「あいさつ」「表情」「態度」「言葉遣い」の5原則が重要になります。それぞれの特徴は以下の通りです。

身だしなみ
身だしなみは、人の第一印象を大きく左右する重要な項目です。頭髪や制服の着こなし、靴、アクセサリーなどにおいて、相手に不快感を与えないように清潔感を意識することが望ましいです。さらに医療従事者として、リスク管理や医療安全を重視した身だしなみが求められます。事故の原因となり得る長い髪は束ねてまとめる、爪は短く切り揃えるなどといった清潔・安全・機能性を配慮した身だしなみを心掛けることが必要です。

あいさつ
あいさつは患者さんに気づいているという、こちらからのシグナルになり、コミュニケーションのきっかけにもなります。飲食店をはじめとしたサービス業では、大きな声で元気にあいさつをしている場面を目にすることもよくありますが、医療機関では必ずしもそれが正解とは限りません。
患者さんは心身に何らかの不調を抱えているため、緊張感を与えるようなあいさつは逆に不安を煽ってしまう可能性もあるからです。患者さんの症状や年齢に合わせて声量や距離感に配慮しつつ、威圧的にならないようなあいさつを心がけましょう。

表情
人は表情からさまざまな感情を読み取ります。たとえ言葉に出さなくても、表情には自分の感情が反映されやすいので、常に意識することが必要です。穏やかな表情は、相手に安心感や信頼感を与えます。眉間にしわを寄せていたり無表情だったりすると、患者さんに不信感や嫌悪感を抱かれてしまうこともあります。
できるだけ穏やかな笑顔を心掛け、患者さんの状態や状況に応じて変化を持たせることも大切です。

態度
表情と同じように、人は態度からも多くの感情を読み取ります。患者さんの話を聞く際には、相手に体と視線を向け、背筋を伸ばした姿勢を保つように心がけましょう。
忙しい時などは無意識に自分の感情が態度に表れてしまうことも多いため、以下のような態度には注意するようにしましょう。

・腕や脚を組む
・貧乏ゆすり
・ペンを繰り返しカチカチ音をさせて押す
・ため息をつく
・時計をチラチラ見る
・爪や髪の毛をいじる
・首をかしげる
・何かをしながら聞く
・足音   など

言葉遣い
言葉遣いは医療接遇において、重要な要素です。適切な敬語を使うことはもちろん、相手に分かりやすく伝える言葉を選ぶことが求められます。時々、高齢の患者さんに敬語を使わず、友達口調で会話する医療従事者を目にしますが、それは望ましくありません。相手を敬って、状況に合わせた言葉遣いをするように心掛けましょう。

医療接遇には傾聴力が重要

患者さんは何らかの症状や不安を抱えて来院されます。その不安を取り除くために医療従事者に求められるのは、患者さんが話しやすい雰囲気を作り、相手の立場に立って話を丁寧に聞く傾聴力です。患者さんは、高い傾聴力を持つ医療従事者に対して「この人にもっと話をしたい」「もっと聴いてほしい」といった感情を持つ傾向にあります。
傾聴する際には、患者さんの話を否定したり、話を遮ったりしないように注意が必要です。また、時折相槌を打ったり「なるほど、◯◯なのですね」と言葉を反復して、相手の内容を理解していることを示すとよいでしょう。

医療接遇を高めるにはホスピタルコンシェルジュ®の取得がおすすめ

医療接遇におけるスペシャリストとして、ホスピタルコンシェルジュ®という資格があります。ホスピタルコンシェルジュ®は、医療機関に特化した接遇の基本が身についており、医療関連の制度、法律の知識を有しているという証明になります。技能認定振興協会(JSMA)が主催する検定試験で、1〜3級までの級に分かれています。級ごとの特徴を簡単に紹介します。

3級

3級はこれから医療従事者を目指す学生や、実務経験が浅い人向けとなっています。医療機関における普段の業務の中で、スムーズに患者さんの応対ができる能力の証明となります。検定試験では、医療従事者としての業務における一般的な理解と知識 が問われます。 3級の検定試験では、実技テストはなく学科のみとなっています。

2級

2級は実務経験が3年以上の人や、新規採用者の指導を行う人にとっておすすめです。普段の業務に加えて、イレギュラーな事態が起こった場合でも臨機応変に対応できる能力を証明できます。2級の検定試験は、学科と実技試験に合格する必要があります。

1級

1級は、管理職や中堅職員の指導を行う立場の人向けの資格になります。クレームやトラブル、患者さんからの質問等においても、柔軟に対応できる能力があることを証明することができます。 2級と同じく、学科と実技試験に合格する必要がありますが、より難易度の高い試験となっています。

まとめ

医療接遇は、患者さんが安心して来院できるためになくてはならないものです。患者さんの満足度を高めることはもちろん、医療機関の品質向上にも繋がります。セカンドオピニオンという言葉があるように、これからの時代は患者さんに選ばれる医療機関が求められます。これから医療業界で働こうと考えている方は、ぜひ医療接遇について学んでみてください。

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