介護士の仕事とは?介護福祉士との違いや働き方、資格や給料について解説

介護士の仕事とは?介護福祉士との違いや働き方、資格や給料について解説

2023.06.21 介護事務

【医療事務のパイオニアソラスト監修】介護業界に興味があるけれど、どんな仕事があるのか、未経験でもできるのかと不安に感じている方もいらっしゃると思います。

今回は、高齢者の方や障害者の方をサポートするやりがいのある仕事である「介護士」について紹介します。よく聞く介護福祉士との違いや、介護士の仕事内容や働き方、資格や給料について徹底解説します。
介護士としてのやりがいや大変さについても触れていますので、就職や転職を考えている人はぜひ参考にしてください。

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介護士とは?

介護士とは、介護の現場で介護業務に従事している全ての人を総称する言葉です。

「介護士」という言葉からそのような資格があるように思われがちですが、実際は「介護士」という資格は存在しません。

また介護士になるために必要な資格は特にありません。介護の現場で働いていれば、「介護士」ということになります。
無資格でも介護施設では介護福祉士の指示のもと「身体介護」を行うこともありますが、訪問介護事業所の場合には、介護職員初任者研修以上の資格が求められます。

取得する資格には、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)・実務者研修(旧ホームヘルパー1級)・介護福祉士などがあります。

このうち、介護福祉士が唯一の国家資格であり、取得することで大きなメリットが得られる資格になります。

介護士と介護福祉士の違いについて

介護の現場で働く全ての人を介護士と呼び、介護福祉士も同じ介護士ですが、その中でも国家資格である介護福祉士を取得している人が介護福祉士を名乗ることができます。

大勢いる介護士の中でも、介護福祉士は介護のスペシャリスト。介護士の中でリーダー的な役割を担ったり、施設の主任や管理職を任せられたりすることもあります。

介護業界では、今後も続く介護職員の不足に対応するため、職員がいきいきと仕事を続けられるキャリアパスの導入・普及が必要とされてきました。これにより、スキルや経験に見合った適正な給与や労働環境を提供し、職員の定着を促すことができるようになりました。

今まで、キャリアアップや給与アップを目指す介護士の方は、似た資格が多くどの資格をとればキャリアアップできるのか、道筋がわからないという問題がありました。
それを解消するため、厚生労働省がキャリアパス制度として、国家資格の「介護福祉士」を目指すという統一したルートを確立したのです。

また、介護士の頂点である民間資格の認定介護福祉士を名乗るには、5年以上の実務経験と認定介護福祉士養成研修を受講することで取得できます。

介護士の働き方・仕事内容

介護士の働き方は、「生活援助」と「身体介護」と大きく2つに分けられます。

「生活援助」とは、利用者が行うことができない日常生活の家事を代行して行う介助サービスです。

具体的には一般的な食事の調理・買い物・掃除・洗濯・薬の受け取りなどがあり、通院などを目的とした乗車、移送・降車の介助を提供する事業所もあります。

「身体介護」は、利用者の身体に直接触れながら行う介助サービスのことを指します。

具体的には食事介助・排泄介助・入浴介助・更衣介助・服薬介助・たん吸引・胃ろう等の経管栄養・利用者の見守りなどがあります。

「身体介護」は利用者の身体に触れる介助を行うため、施設内であれば介護福祉士の指示のもと行える場合もあります。しかし、訪問介護事業所の場合は専門的知識を身につけることができる介護職員初任者研修以上の資格を保有している必要があります。

介護士の主な職場

介護士の主な職場は、大きく分けて以下の3つです。

  • ・入所施設
  • ・通所施設
  • ・訪問介護

入所施設

1つ目は利用者が入居して生活をしている入所施設。

こちらは24時間体制で介護サービスを提供するため、夜間帯の勤務があることが特徴です。
利用者の介護度も比較的高くなっており、身体介護が求められる場面が多くあります。

通所施設

2つ目は通称「デイサービス」と呼ばれる通所施設。

利用者が通って利用する施設で、自宅では困難な入浴介助をしたり食事やリハビリなども行ったりする施設があります。

要介護度が比較的低い利用者が多いため、季節の行事などのリクリエーションやカラオケなど利用者が楽しめる介助を行うことが多くなります。利用者の送迎があることが大きな特徴で、送迎車を運転することもあります。
また土日は閉所する施設も多く、平日日勤で働きたい方にはおすすめです。

訪問介護

3つ目は訪問介護。

訪問介護とは、利用者の居宅に訪問して介護サービスを提供する仕事です。

職場が利用者の居宅となるため、料理や掃除などの生活支援が主な仕事内容になります。
入浴介助や排泄介助などが必要になる場合もあり、利用者の身体に触れる介助を提供するには、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格が必要になります。

短時間で働きたい方は、一回あたりの利用時間が決まっているこの訪問介護がおすすめです。

あわせて読みたい記事:訪問介護とは?サービスの内容や利用方法、働く場合の資格について

介護士の資格

介護士として介護の現場で働くことに資格は必要ありませんが、携わることのできる介護の内容は資格の有無で変わります。

より良い介護サービスを提供するためには、やはり資格の取得は必須と言えるでしょう。

取得を目指すべき資格としてソラストでは以下の3つの資格をおすすめしています。

  • ・介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
  • ・実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
  • ・介護福祉士

それぞれの資格にはどのような特徴があるのかを確認していきましょう。

介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)

介護職員初任者研修は、介護士として働くためのスタートの資格と言えます。

介護職員初任者研修を取得することにより、利用者の入浴介助や排せつ介助など、より高度な介助を行うことができるようになります。

あわせて読みたい記事:介護職員初任者研修とは?資格取得の方法やメリットについて解説

実務者研修(旧ホームヘルパー1級)

実務者研修は、国家資格である介護福祉士を目指すためには必須の資格になります。

なぜなら介護福祉士の資格を取得するためには、介護の実務経験3年以上に加え、実務者研修の修了が必須条件になっているからです。

また実務者研修を修了することで、「サービス提供責任者」という訪問介護事業所に設置が義務付けられている責任者になることができます。

それに加え「たん吸引」や「胃ろう」などの経管栄養といった原則医師や看護師のみ認められている医療的ケアの基礎知識が身につき、指定事業所内での実施研修を受けることにより処置ができるようになります。

ソラストでは介護福祉士になるために必須な実務者研修の講座があります。選べる日程で受講しやすく、未経験・無資格でも受講可能です。

初任者研修またはヘルパー2級の資格をお持ちの方はお得な割引もありますのでぜひチェックしてみてくださいね!

あわせて読みたい記事:実務者研修とは?研修内容や初任者研修との違い、メリットについて解説

介護福祉士

介護福祉士は、介護の分野における唯一の国家資格で、いわば介護のスペシャリストです。

介護施設や介護の分野において、介護士の中でもより専門的な知識やスキルを持って介助を行い、介護職員に対する介護業務の指導を求められることもあります。
また介護職員をまとめるリーダー的な役割を担ったり、主任や管理職などを任せられたりすることもあります。

給与面でも資格手当を受けることができたり、主任や管理職といった役職に応じた手当が支給されることで介護福祉士の資格を保有していると給与が高くなったりする傾向にあります。

あわせて読みたい記事:介護福祉士を目指す!資格の取り方や試験の詳細、合格率について徹底解説

介護士の給料について

これから介護士として働くことを検討している人は、給与の実態はどのようになっているのかが気になりますね。

保有資格によって、または働く施設によっても変わってきます。実際どれくらいの給与があるのかそれぞれ見ていきます。

【保有資格別給与】

保有資格別給与保有資格平均給与月額(令和3年)平均給与月額(令和2年)
介護福祉士328,720円322,680円
実務者研修307,330円299,890円
介護職員初任者研修300,510円293,360円
資格なし271,260円262,420円
全体平均316,610円309,230円
出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

資格別に比べてみると、令和3年の場合介護福祉士は328,720円となっており、無資格者と比べて月5万円以上の給与差があります。

【施設別給与】

施設形態平均給与月額(令和3年)平均給与月額(令和2年)
介護老人福祉施設345,590円336,350円
介護老人保健施設338,390円330,640円
訪問介護事業所314,590円307,850円
通所介護事業所278,180円271,920円
全体平均316,610円309,230円
出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

施設別に比べてみると、介護老人福祉施設・介護老人保健施設が給与が高くなっています。
これは、夜間勤務があることが要因で、夜間勤務に入ると夜勤手当が支給され、その分給与が高くなる傾向にあるからです。

保有資格別、施設別いずれも、令和2年と令和3年を比べてみてもわかるように、介護士の給与は全体的に上昇しています。

介護士として働くやりがいや大変さについて

介護士の仕事は、肉体労働のため身体を壊したり、労働の過酷さに給与が見合わなかったりなどのネガティブなイメージもあります。その一方で利用者の自立をサポートすることで利用者本人やそのご家族から感謝されることが多く、大変やりがいのある仕事です。

介護のノウハウや技術を身につけておくことで、身近な家族の介護などにも活かすことも可能になります。

介護士として働くことを考えている方にとって、そのメリットやデメリットをあらかじめ把握しておくことは非常に大切なことです。

介護士の大変さ

介護の現場で実際に働いている介護士は、実際にどのような悩みをもっているのでしょうか。

■体力的な辛さ

介護の仕事は、非常に体力を使います。利用者の身体の大きさや介護の度合いによっては、身体的な負担が非常に大きくなります。

夜間勤務のある介護施設では、生活のバランスが崩れることで体力的にきついと感じるのも事実です。
しかし、介護職員初任者研修を取得することで適切な身体介助方法を身につけることができ、ボディメカニクスなどの技術を会得することで身体的な負担も軽減されます。

また夜間勤務がきつい場合は、日勤勤務のみの通所施設や訪問介護に職場を移せば、夜間勤務の負担はなくなります。

あわせて読みたい記事:ボディメカニクスとは?介護の身体への負担を減らす原理やメリットについて解説

■精神的な辛さ

特に「看取り」のケアは、お世話をしている利用者が亡くなってしまうのを目の当たりにするため、非常に精神的な辛さが負担になってしまう事があります。

人間関係の悩み

介護の仕事は、利用者やその家族、介護士同士のコミュニケーションなど、人との関わりが多い仕事です。多忙な現場でもコミュニケーション不足などで、人間関係の悩みが生じることもあるでしょう。

給与面での悩み

介護の仕事は、夜間勤務があり体力的にも精神的にも負担の大きな仕事ですが、その割には給与が見合わないという声も聞こえます。
実際に介護職の平均給与は、一般企業と比べると少し低い傾向にあります。

しかし、国の介護職員処遇改善加算や介護報酬改定が推進されていて、介護士の給与は着実に上昇しています。

介護士のやりがい

■感謝される

介護の仕事のやりがいといえば、やはり利用者やそのご家族から感謝されることでしょう。

利用者の生活を支えるために心をこめて介助をすることで、しっかりとした信頼関係が構築されていきます。そのような関係になれば、利用者や家族から心から感謝をされ、介護の仕事をしていて本当に良かったと思えるはずです。

■資格取得でキャリアアップ

介護の現場では、資格取得や経験年数で給与が上がり、キャリアアップしていくことができます。

介護の現場は働いた期間やスキルが評価につながる仕組みができているため、とてもやりがいが感じられる仕事になります。

■家族の役にも立てる

介護の現場で知識やスキルを身につけておくと、将来自分の家族の介護が必要になった時に役に立つことができます。

身体介護はもちろんのこと、介護をしていく中でどのような行政のサービスが受けられるかなども、知識があるとスムーズに進めることができるはずです。

まとめ:資格を取得しキャリアアップ!介護士として活躍しよう

介護の仕事はニーズが高く、今後も続く日本の高齢化社会をみると仕事がなくなることは考えにくく、安定した雇用が期待される職業です。

また年齢や性別には関係なく、これまでもキャリアにも左右されない介護の仕事は、長く安定して働き続けられる仕事です。