介護職員初任者研修とは?資格取得の方法やメリットについて解説

介護職員初任者研修とは?資格取得の方法やメリットについて解説

2023.05.24 介護事務

【医療事務のパイオニアソラスト監修】介護職員初任者研修とは、介護業界で働くために必要な基本的な知識や技術を身につけるための資格です。
2013年4月にホームヘルパー2級から名称が変更されました。

この記事では、介護職員初任者研修の概要や取得方法、資格取得後のメリット、実務者研修との違いについて詳しく解説します。
この資格を取得すると、介護職員として働く上での基本的なスキルや知識が身につき、業務に役立てることができるので介護業界を目指す方にとっては必読です。
ぜひ、参考にしてみてくださいね!

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介護職員初任者研修とは?

介護職員初任者研修とは、高齢者や障がい者に対して介護の仕事をするための入門資格です。130時間の研修を受講することで、食事・更衣・入浴介助などの専門的サポートに関する知識とスキルを身につけます。

2013年の制度改正によって、「ホームヘルパー2級」から「介護職員初任者研修」へ名称が変更されました。

修了試験に合格することで、施設介護だけでなく訪問介護を行うことができるようになります。

訪問介護とは、利用者の自宅で生活援助(掃除、洗濯、買い物など)、身体介護(着替えや食事の介助など)、通院介助などを行うサービスです。
この訪問介護のサービスの中でも利用者の身体に触れる「身体介護」を行うためには、知識とスキルが必要です。そのため、初任者研修の資格がないとできないサービスになります。

将来的には介護福祉士を目指すこともでき、介護職員初任者研修は介護のキャリアをスタートさせるために必須の資格と言えるでしょう。

ホームヘルパー2級から変更された点

介護職員初任者研修は、2013年の制度改正までは「ホームヘルパー2級」という名称でしたが、名称だけでなく、内容についても数カ所変更された点があります。

介護現場での30時間の実習なし

ホームヘルパー2級では、介護現場(訪問介護やデイサービスなど)での30時間の実習が必要でしたが、必須ではなくなり任意となりました。

しかし、実際の現場を体験することが効果的な研修に必要とスクールが判断した場合は、施設の見学や実習を組み込む場合もあります。

スクーリング時間が増加

スクーリング(通学)での演習の時間が長くなりました。ホームペルパー2級では72時間がスクーリングでしたが、初任者研修では89.5時間がスクーリングとなります。

厚生労働省「介護員養成研修の取扱細則について」によると、介護職員初任者研修カリキュラムで実施する全130時間のうち、各科目ごとの上限を超えない範囲で最大合計40.5時間の通信学習が可能です。つまり、89.5時間がスクーリングの時間となります。

修了試験実施

ホームヘルパー2級ではカリキュラムを全て受講すれば資格をとることができたのに対して、介護職員初任者研修では修了試験を受験し、それに合格することが必要になりました。

認知症ケア科目の追加

介護職員初任者研修では、近年の認知症の増加に伴い、これまでになかった「認知症の理解」という科目が6時間、追加されました。

訪問のみならずその他の場所で働くことを想定とした研修内容

主に訪問介護を学ぶホームヘルパー2級の内容から、介護職員初任者研修は訪問介護のみならず介護施設などさまざまな場所で活躍することを想定した研修内容へと変化しました。

あわせて読みたい記事:ホームヘルパー2級と初任者研修の違いは何?正式名称や資格内容を解説

「初任者研修」と「実務者研修」の違い

実務者研修とは、初任者研修の上位に位置する研修です。
初任者研修が介護の基礎を学ぶのに対して、実務者研修は介護福祉士に必要な専門性の高い知識やスキルを深く学びます。そのため、初任者研修は130時間で9科目の研修を約10万円以内で修了することができますが、実務者研修は450時間をかけて20科目、費用も2倍以上かけて受講します。

また、実務者研修を修了すると介護福祉士の受験資格を得ることができるため、介護福祉士を目指す人は必ず通る道です。

介護職員初任者研修の取得方法

介護職員初任者研修の取得方法には主に「通学」と「通信+通学」のスタイルがあります。

通学先としては、民間のスクールやハローワークといった選択肢があります。
カリキュラムにスクーリングが組み込まれていることから、独学で取得することはできないので注意しましょう。

研修を修了後は、試験を受験する必要があり、合格すれば介護職員初任者研修を取得することができます。

講座受講費用について

介護職員初任者研修の受講費用は、受講する研修機関やスクールによって異なりますが、一般的に約5万円〜10万円が相場とされています。

ハローワークの教育訓練給付制度や求職者支援制度を利用することができれば、受講料の一部を国が負担してくれたり、テキスト代などの実費のみ負担するだけで良いので、費用をかなり抑えることができます。

民間のスクールを利用する際はホームページなどで内容と費用が自分に合うものかよく見て決めることをおすすめします。
また、資格取得のための補助金を出している自治体もあるので、自分の住んでいる自治体の制度についてもあわせてチェックしておきましょう。

あわせて読みたい記事:​​教育訓練給付制度をわかりやすく解説!お金をもらって資格取得をしよう

受講科目と時間数

介護職員初任者研修は130時間をかけて大きく9科目を受講します。

受講内容とそれぞれの受講時間は以下の通りです。

1職務の理解6時間
2介護における尊厳の保持・自立支援9時間
3介護の基本6時間
4介護・福祉サービスの理解と医療との連携9時間
5介護におけるコミュニケーション技術6時間
6老化の理解6時間
7認知症の理解6時間
8障害の理解3時間
9こころとからだのしくみと生活支援技術75時間
10振り返り4時間
合計時間130時間
出典:厚生労働省資料 介護員養成研修の取扱細則について

スクールなどでは週にどのくらい通学するか回数によりますが1ヶ月〜4ヶ月をかけて学習するのが一般的なようです。

介護職員初任者研修の資格を取得するメリット

ここからは介護職員初任者研修の資格を取得するメリットについて解説していきます。

介護の基本的な知識・スキルが得られるため、未経験でも安心して働き始められる

研修をしっかり受講することで介護の基本的な知識・スキルが得られるため、利用者の体に直接触れる身体介護などが必要な場合でも安心して行うことができます。

また、得られた知識やスキルは家族のためにも活用することができるため、いざという時にどう動いたらいいのか分かるでしょう。

求人の幅が大きく広がり、就職・転職先の選択肢が広がる

介護職員初任者研修を取得することで、施設介護だけでなく、在宅介護や身体介護も行うことができるので、求人の幅が大きく広がり、就職や転職先の選択肢が広がります。

介護職未経験でも就職に有利になる

介護関連の求人では、初任者研修をすでに取得していることを前提に募集をしているところもあり、介護職が未経験であっても資格を取得していることを履歴書に記載することで大きなアピールポイントになります。就職に有利になることは間違いないでしょう。

給料のアップが見込める

介護職では資格手当をもらえることが多くあり、介護職員初任者研修も取得していることで給料のアップが見込めます。
実際に厚生労働省がとった統計では、介護職員初任者研修を取得している人としていない人では月収に約29,000円ほどの違いが出ています。これは1年間で約35万円にもなり、資格を取得する大きなメリットと言えます。

参考資料:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課(187ページ)

キャリアアップにつながる

「介護職員初任者研修」は、介護分野でのキャリアのはじまりと言えます。2013年の改訂により、介護士のキャリアパスがより明瞭になりました。

さらなるキャリアアップを目指す場合、「介護福祉士実務者研修」や「介護福祉士」、「認定介護福祉士」などの上級資格の取得を考えると良いでしょう。「初任者研修」資格を取得しておくことで、キャリアアップの道がよりスムーズになります。

介護職員初任者研修は介護の仕事以外でも活かせる資格?

介護職員初任者研修で得た知識やスキルは、仕事だけではなく、家族の介護や高齢者へボランティアを行う際にも役立ちます。
また、デパートやホテルのようなサービス業のスタッフも、高齢者やお手伝いが必要なお客様の安心のために取得する人たちもいます。

まとめ:介護職員初任者研修は介護のプロへの第一歩

介護職員初任者研修を取得するにはある程度の時間と費用が必要ですが、取得後のメリットは大きいです。高齢化が進む現代社会では、介護に携わる人材は欠かせない存在になっています。

ぜひ、介護の職をスタートさせるのに重要なステップになる介護職員初任者研修の取得を目指してみましょう。