調剤薬局事務ってどんな仕事?必要な資格や仕事内容を徹底解説
2023.05.14 調剤薬局事務
【医療事務のパイオニアソラスト監修】調剤薬局事務は、薬剤師と連携して患者さんが安心してお薬を受け取ることができる環境をサポートする仕事です。
この記事では、調剤薬局についてや、調剤薬局事務の仕事内容や資格、調剤薬局事務のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
処方箋受付から保険請求、医療機関やかかりつけ薬局との連携まで、幅広い業務を担当し、地域医療に貢献している調剤薬局事務。
必要な知識や資格、仕事内容の特徴なども含め、あなたが調剤薬局事務として活躍できるヒントになるよう役立つ情報をお届けします。
まずは知りたい「調剤薬局」について
調剤薬局とは、医師が発行した処方箋に基づいて、薬剤師が薬を調剤し患者さんに提供する薬局のことです。薬剤師が処方箋に基づき調剤した薬を提供する他、市販薬の販売も行います。
調剤薬局は、公的保険制度に基づいて保険適用の薬を処方することが一般的です。
そのため、処方箋を基に薬を調剤する調剤薬局は、保険調剤薬局や保険薬局と呼ばれることもあります。医療機関からの処方箋を提出することにより、患者さんは保険が適用された価格で薬を購入することが可能です。
薬局の分業形態「点分業と面分業」とは
特定の医療機関からの処方箋をメインで受け付ける調剤薬局の事業形態を「点分業」と呼び、病院の敷地内にある「門内薬局」や病院の直ぐ側にある「門前薬局」がこれにあたります。
患者さんが医療機関を受診した後、すぐに薬を受け取れるので、利便性が高いのがメリットです。
対して、幅広い医療機関からの処方箋を取り扱う調剤薬局は「面分業」という事業形態で区別します。
かかりつけ薬局について
薬局の分業形態の中でも、患者さんの処方箋を全て一貫して取り扱う調剤薬局を「かかりつけ薬局」と呼びます。
かかりつけ薬局では、1人の患者さんにつき1人のかかりつけ薬剤師が、患者さんのお薬に関する情報を継続的に管理します。患者さん個人の生活に沿った投薬のアドバイスができるため、安全性を担保することが期待できるのがメリットです。
かかりつけ薬剤師は、患者さん自身が選び、同意書を交わすことでもつことができます。
薬物医療の安全化の促進や医療費の最適化の観点から、調剤薬局のかかりつけ薬剤師・薬局化が厚生労働省からも推進されています。
参考:厚生労働省|【参考資料1】かかりつけ薬剤師・薬局
調剤薬局(保険薬局)・薬局・ドラッグストアとの違いは?
調剤薬局と薬局には、以下のような違いがあります。
| 調剤薬局(保険薬局) | 薬局 |
根拠となる法 | 健康保険法 | 薬機法 |
必要となるもの | 厚生労働大臣の指定 | 都道府県知事の許可 |
常在する薬剤師 | 保険薬剤師 | 薬剤師 |
主な業務内容 | 処方箋に基づく調剤 | 薬の調剤やアドバイス |
薬局とは、薬剤師が薬の調剤を行い、販売または授与をする場所のことをいいます。
薬局という大きなくくりの中で、医師が発行した処方箋に基づいて、薬剤師が薬を調剤し、患者に提供する薬局が調剤薬局です。
ドラッグストアは本来、調剤を行わず一般医薬品や日用品を扱うお店とされていましたが、近年は薬剤師や保険薬剤師が常駐しているドラッグストアも増えつつあります。
調剤薬局のお仕事(資格・仕事内容・給料)
調剤薬局では、大きく分けて「薬剤師」と「調剤薬局事務」のお仕事があります。
それぞれの詳しい業務内容やお給料、必要な資格についてまとめました。
薬剤師のお仕事
お薬に関する豊富な知識をもとに、患者さんへの調剤を行ったり、服薬のアドバイスをしたりするのが薬剤師(保険薬剤師)の仕事です。
他人の相談に乗りコミニュケーションをとることが好きな人や、常に新しい知識をインプットできる学習意欲の高い人に向いている仕事だといえるでしょう。
医薬品を扱い、健康や命に関わる仕事であることから、常に正確な判断や責任感も求められます。
必要な資格 | 薬剤師(※厚生労働大臣の登録を受けた保険薬剤師) |
仕事の内容 | 処方箋を基にした調剤、服薬の指導、薬歴の管理、医薬品の管理など |
パート・アルバイトの平均時給 | 約2,800円 |
正社員の平均年収(※) | 約580万円 |
(※)出典:賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|厚生労働省
調剤薬局事務のお仕事
調剤薬局事務は、保険薬局の窓口で受付やお会計など、患者さんの対応をすることが主な仕事です。レセプト(調剤報酬明細書)作成や、お薬代の保険適用に関わる手続きなど、事務的な作業も行います。
調剤をしないので薬に関する知識はマストではありませんが、基本的な知識があるとよりスムーズに患者さんや薬剤師とのコミュニケーションがとれるでしょう。
必要な資格 | なし |
仕事の内容 | 受付や会計など患者さんへの対応、レセコンの入力、医薬品の管理、レセプト業務など |
パート・アルバイトの平均時給 | 約956円 |
正社員の平均年(※) | 約285万円 |
(※)出典:求人ボックス給料ナビ
医療事務と調剤薬局事務の違い
医療事務と調剤薬局事務の仕事は似ていますが、大きな違いとなるのは、医療事務は病院やクリニックの窓口に立つ仕事であること、調剤薬局事務は調剤薬局の窓口に立つ仕事であることです。
医療事務は患者さんの初診・再診に合わせた受付業務、診察後の会計、再診のための予約などを行います。
調剤薬局事務は患者さんから処方箋を受け付けたり、お薬代の会計などを行ったりするのが主な仕事です。
調剤薬局事務の仕事内容
調剤薬局事務の仕事は多岐にわたります。
患者さんとコミュニケーションを取ったり、事務処理をしたり、お薬の発注や点検を行ったりと、仕事を通して様々なスキルが身につくのが魅力です。
受付や患者さんの対応
調剤薬局事務の仕事としてメインとなるのが、処方箋を調剤薬局に持ってきた患者さんの対応です。受付をして処方箋と保険証を預かり、薬剤師に調剤を依頼します。
患者さんの不安を取り除き、スムーズな案内をするためにも、医療接遇のスキルが求められます。
医療接遇とは、医療の現場で求められるコミュニケーションのスキルです。
処方箋・患者さん情報入力
処方内容をパソコンに入力して「調剤録」を作成したり、処方したお薬の履歴をまとめた「薬歴簿(カルテ)」を作成したりするのも調剤薬局事務の大切な仕事です。
法律や命にも関わる大切な記録なので、適切なデータの管理が求められます。
会計
処方された内容に従って調剤にかかった費用を算出し、その中から患者さんが自己負担する金額を計算、請求します。
レセプト業務(調剤報酬請求)
患者さんが自己負担した金額以外の費用を国民健康保険や保険組合などの保険者から請求する作業が、レセプト業務です。
月に1度レセプト(調剤報酬明細書)を作成し、保険者から調剤報酬を受けるための手続きをします。レセプト業務は医療の現場で求められる、大切な業務です。
薬剤師の補助(サポート)
薬剤師の補助業務を任されることもあります。
医薬品に触れるため、清潔感や責任感が求められます。薬への基礎知識もあると安心です。
医薬品の発注・点検・入庫
医薬品の発注を行ったり、伝票を管理したりするのも調剤薬局事務の仕事です。
配達された医薬品が発注したものと合っているか点検し、薬品庫などに入庫します。
調剤薬局事務の1日のスケジュール
調剤薬局事務の1日のスケジュールは、働く薬局や業務形態にもよりますが、大体8:30〜19:00くらいで勤務することが多いようです。
8:30 始業
患者さんの処方箋受付が始まる前に出勤して、清掃やレジ準備を行います。
9:00 午前の業務開始
患者さんの受付や会計、電話対応、納品された薬の点検や入庫などを行います。
朝イチは混み合うことも多く、特に受付や会計ではスムーズな対応が求められるようです。
12:30 お昼休み
午前の受付が終了したら、お昼休みをとります。午前の受付が長引くことも考慮して、お昼休みは長めに設定されていることも多いようです。
14:00 午後の業務開始
午前中と同様に、患者さんの受付や会計、電話対応、納品された薬の点検や入庫などを行います。
18:30 受付終了
受付が終了したら、患者さんへの対応業務は終了です。レジ締めや整理整頓を行い、終業の準備をします。
19:00 終業
午後の受付終了が長引いた場合、終業時間が遅くなることもありますが、残業は比較的少ないです。
調剤薬局事務に向いている人
調剤薬局事務は、こんな人に向いている仕事です。
・人と接するのが好きな人
・チームワークを大切にできる人
・丁寧で几帳面な人
・パソコンスキルがある人
調剤薬局事務の仕事では、接客から事務作業まで、様々なスキルが求められます。
人と接するのが好きな人
窓口に来た患者さんとコミュニケーションをとることは、調剤薬局事務の大切な仕事です。
接客スキルが求められる他、疑問や不安を持っている患者さんには、悩みに寄り添った対応も重要となります。
チームワークを大切にできる人
調剤薬局で働く際は、薬剤師や他の事務スタッフとの連携を求められる場面も多くあります。そのため、チームワークを大切にしたり、報連相をしっかり行えることは、調剤薬局事務としての必要スキルです。
丁寧で几帳面な人
患者さんの個人情報を扱い、レセプト業務など責任感の伴うデータ管理をすることも多いのが、調剤薬局事務の特徴です。大切なデータをしっかりと守るためにも、丁寧なやり取りが求められます。
パソコンスキルがある人
調剤録や薬歴簿(カルテ)の作成や、レセプト業務、薬の発注など、パソコンを使う機会が多いです。そのため、基本的なパソコンスキルを持っていると、より早く仕事に慣れることができるでしょう。
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調剤薬局事務のメリット・デメリット
働きやすくやりがいがある一方で、責任感や正確さが求められるのも調剤薬局事務の仕事の特徴です。
そんな調剤薬局事務として働くメリット・デメリットをまとめました。
調剤薬局事務になるデメリット
・連休が取りにくい
調剤薬局事務は薬局の定休日に合わせて出勤するため、公務員のように土日・祝日が休みとは限りません。連休は取りにくいことを覚えておきましょう。
・事務作業以外のスキルも必要
調剤薬局事務といっても、その業務内容は事務だけに収まらず、患者さんとのやり取りやレセプト作成など、専門知識が求められる場面も多いです。
しかし知識やスキルは仕事をしながら身についていくもの。未経験からでも挑戦できるため、不安を感じる必要はありません。
・丁寧・正確な対応が求められる
調剤薬局は医薬品を取り扱っているため、ミスが起こると命に関わる問題に発展することも。そのため、調剤薬局事務として働く上では、常に丁寧で正確な対応が求められます。
調剤薬局事務になるメリット
・誰でも目指せて働きやすい
調剤薬局事務になるためには必ず資格が必要なわけではありません。誰でも目指せるところが魅力です。また、調剤薬局は全国にあるため、引っ越しなどで環境が変わっても職探しには困りません。正社員からパートまで雇用形態にも幅があるため、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
・需要が高く将来性がある
高齢化社会に伴い、調剤薬局のニーズが高まっています。それに伴い、薬剤師や調剤薬局事務の仕事も需要が高まっていくでしょう。将来性がある仕事につきたい方や、子育てなどで一度休職した場合でも復職しやすいためおすすめの仕事です。
・薬に関する知識が身につく
仕事を通して、薬に関する専門的な知識を身につけることができるのも、調剤薬局事務として働く魅力です。専門的な仕事はやりがいがありますし、ご自身の生活にも活かせます。
調剤薬局事務におすすめの資格
調剤薬局事務の仕事に資格は必須ではありませんが、持っていると実務に生かせるほか、転職活動・就職活動の際にも大きなアピールポイントとなります。
調剤薬局事務に関する民間資格はいくつかありますが、ここでは特に就職や転職でニーズの高い資格を4つピックアップしました。
各資格のさらに詳しい情報や独学での勉強方法については、こちらのコラムで紹介しています。気になる資格がある人はチェックしてみてください。
あわせて読みたい記事:「調剤薬局事務の資格はどれがいい?種類や難易度について解説」
調剤事務管理士®
調剤事務管理士®は、技能認定振興協会(JSMA)が主催する、調剤薬局事務の実務で必要なスキル全般を証明できる資格です。受験に必要な資格はなく、試験は毎月実施されています。自宅で受験可能です。(※2023年5月現在)
試験にはマークシートの学科科目と、レセプトに関する実技科目があり、合格率は平均で約78%です。試験対策教材などでしっかり学習すれば合格が狙えるレベルでしょう。
調剤情報実務能力認定試験
調剤事務実務士は、特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が主催する試験です。
試験は教育指定校と指定団体のみで行われるため、指定の予備校などへの通学が必要となります。
試験は薬学や接遇マナーなどに関する学科と、処方箋を元に調剤報酬の明細書を作る実技の2科目です。合格率は約60%と、標準レベルの難易度です。
調剤報酬請求事務専門士
調剤報酬請求事務専門士は、一般社団法人専門士検定協会が主催する、調剤報酬に関する専門家として働ける資格です。1級~3級まで難易度に応じて3つのレベルがあります。
特別な受験資格はなく、試験は会場、もしくはFAXを使い自宅でも可能です。
試験内容は全てのレベルで学科が課される他、実技もあります。
各レベルの合格率は3級が約60%、2級が約35〜45%、1級が約15〜25%ほどです。
医療保険調剤報酬事務士
医療保険調剤報酬事務士は、医療保険学院が主催する資格です。
医療保険学院が行う医療保険調剤報酬事務士の通信講座を受けて、確認テストと卒業試験に合格すると、資格を取得することができます。
試験科目は学科が2科目と、レセプトに関する実技が1科目あります。合格率80%〜90%と高く、通信講座をきちんと受ければ特に難しい試験ではありません。
おすすめは技能認定振興協会(JSMA)の調剤事務管理士®技能試験
ご紹介した4つの資格の中でも、特に技能認定振興協会(JSMA)が主催している、調剤事務管理士®技能試験は独学でも合格を目指しやすくておすすめです。技能認定振興協会(JSMA)は、医療や介護業界でも認知度の高い資格試験団体であることから、就職や転職の際は強いアピールポイントにもなるでしょう。
試験は毎月開催されていて、在宅で受験できます。家事や仕事で忙しい方でも受験しやすい点も魅力です。
資格を保有していると、受付や会計、レセプトなど、保険薬局の事務として働く上で必要なスキルを持っていることの証明となります。
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調剤薬局は年々増加!調剤薬局事務の求人ニーズは高まり続ける
調剤薬局のかかりつけ薬局化が推進されていることもあり、今後調剤薬局の需要はどんどん高まっていきます。かかりつけ薬剤師の仕事が増えるのに伴い、それを支える調剤薬局事務の仕事もますます需要が高まっていくでしょう。
特別な資格が必要ないので目指しやすい調剤薬局事務は、医療に関わりたいけれど現在資格を有していない方や、これから先も需要や将来性のある仕事を探している方にとって、ぴったりな仕事だといえます。
まとめ:未経験でも働ける!調剤薬局事務になって活躍しよう
調剤薬局事務は、誰でも目指せて働きやすい仕事です。高齢化社会に伴い、今後もますますニーズが高まっていくことが期待できます。
また、調剤事務管理士®などの民間資格を取得しておくと、現場でスキルの証明ができる他、就職や転職にも有利になるためおすすめです。
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