調剤薬局事務とは?仕事内容や向いている人の特徴などについて解説

2022.07.26 調剤薬局事務

近年、医療系の事務職を目指す人は増えていますが、そのうちの一つに調剤薬局事務という職種があります。調剤薬局事務はその名の通り、保険薬局で事務的な役割を果たすのが主な仕事ですが、具体的にはどのような職種なのでしょうか。この記事では調剤薬局事務の仕事内容、メリット・デメリット、向いている人の特徴などについてお伝えします。

調剤薬局事務とは?

医師から処方された薬を薬剤師が調剤し、患者さんにその薬と適切な使用方法に関する情報を提供する医療機関を「保険薬局」といいます。
その保険薬局の窓口で、受付や会計、患者さんの対応をするのが「調剤薬局事務」です。
基本的に薬の調合は薬剤師しか行えないため、多くの薬学的な知識は必要ありませんが、最低限取り扱っている薬の基本的な知識は持っておくことが望ましいです。


医療事務と共通する点も多くありますが、医療事務の主な職場は病院やクリニックであるのに対し、調剤薬局事務の職場は調剤薬局です。
また、医療事務は診療行為全ての請求業務に関わりますが、調剤薬局事務は基本的に薬に関することのみに対応します。
また医療事務と同様、調剤薬局事務も必ずしも資格は必要ではないため、誰でも目指すことができるのが特徴です。

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調剤薬局事務の仕事内容

保険薬局では、薬剤師と調剤薬局事務がお互いに役割分担をして、スムーズに業務を遂行できるようにしなければなりません。
調剤薬局事務が行う主な仕事内容についてみていきましょう。

受付や患者さんの対応

来局された患者さんやそのご家族から、処方箋、保険証、お薬手帳などを預かります。初診で来られた患者さんに対しては、問診票や基本情報の記入を依頼して、既往歴やアレルギーがないか、ジェネリック医薬品は希望するかなどを確認します。
保険薬局は、患者さんや近隣病院から電話での問い合わせがあることもあり、その応対も調剤薬局事務の仕事です。

レセコンへの入力業務

レセプト(調剤報酬明細書)作成のため、処方箋の内容や患者情報をレセコン(レセプトコンピューター)に入力します。薬の種類や分量などに誤りがないよう、正確な作業が必要です。
最近では、処方箋に付いているバーコードを読むだけで入力できるものが増えていますが、最終チェックは必ず行います。

会計

薬剤師が調合した薬を患者さんに渡し、代金を受け取ります。現金の受け渡しにミスがないように細心の注意を払います。

レセプト業務

患者さんは保険証を提示することで、薬にかかる費用の1~3割のみ支払います。残りの費用は、保険証を交付する国民健康保険や社会保険などの保険者が負担しており、後から支払われる仕組みになっています。その支払いを請求するための業務をレセプト業務といい、レセプトを作成・点検して各保険組合に提出します。
レセプトは、毎月10日までに書類を提出するため、月末月初あたりは忙しくなることが多いです。

薬剤師の補助

薬剤師の指導のもと、薬を棚から取り出して分量を揃えたり、薬の数を数えたりすることも調剤薬局事務の仕事です。基本的に、薬の調剤や服薬指導は薬剤師しか行えませんが、調剤薬局事務はその補助的な役割を任されることもあります。

医薬品の発注・点検・入庫

在庫が少なくなってきた医薬品を発注して補充するのも調剤薬局事務の仕事です。納品されたものと発注内容に相違がないか点検し、指定の場所に入庫します。忙しい時期や発注状況によっては、頻回に納品や点検、入庫作業を行うこともあるでしょう。
また、保険薬局は医薬品を扱う場所であることから、清潔に保つためにも倉庫の整理・調剤室の清掃を行う役割を担うこともあります。

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調剤薬局事務の1日のスケジュール

調剤薬局事務の1日のスケジュールの流れは、大まかに以下のようになります。
なお、スケジュールは勤務先によって異なりますので、参考程度にご覧ください。

8:30 出勤・開局準備
開局前にレジやパソコンの立ち上げ、在庫の確認、局内の清掃などを行います。

9:00 開局・午前の業務開始
来局された患者さんやそのご家族の受付対応、入力、会計業務を中心に行います。 薬剤師の指示に従って、調剤の補助業務も担います。

12:30 昼休憩
午前の受付が終了し、最後の患者さんの対応を終えたら昼休憩に入ります。近隣の病院やクリニックの受付時間に合わせていることが多いため、昼休憩は比較的長めです。

14:30 午後の業務開始
基本的には午前中と同様の業務内容です。

18:00 閉局
午後の最後の患者さん対応を終えたら、レジ点検を行い、誤差がないかをチェックします。
片付けを行い、業務終了です。

18:30 退勤

※最近は夜遅くまで開いている保険薬局も増えており、シフト制で早番と遅番に分かれている職場もあります。

調剤薬局事務のメリット・デメリット

調剤薬局事務として働くメリット・デメリットについて見ていきましょう。

メリット

■働きやすい
保険薬局は全国各地に存在しているので、引越しをしたり環境が変わったりしても、希望の職場探しに困ることは少ないでしょう。
また、必ずしも資格が必要とされないため、誰でも挑戦できることもメリットに挙げられます。正社員、派遣社員、パートなど、雇用形態の選択肢があることも、働きやすい職種といえる要素です。

■復職しやすい
調剤薬局事務は、専門性が高い仕事であるため、出産や子育てなどで一度職場から離れた方でも復職しやすい傾向にあります。ライフスタイルや環境の変化によって仕事を変えなければならないことが多くありますが、復職しやすいことは大きなメリットでしょう。

■薬に関する知識が得られる
保険薬局では、仕事をしながら薬に関する専門知識を得ることができます。専門的な仕事にやりがいを感じられるとともに、薬の知識を自分の生活にも役立てることができるでしょう。

■将来性がある
日本は超高齢社会を迎えており、薬を必要とする患者さんも増加しています。医療自体がなくなることはないため、調剤薬局事務は今後も需要があり、将来性のある職業であるといえるでしょう。

デメリット

■連休が取りにくい
特に門前薬局(病院の目の前やすぐ近くの薬局)は、近くの医療機関の診療日に合わせて営業していることがほとんどです。病院やクリニックは一般的に日曜祝日と、平日1日を休診日にしているため、連休が少ない傾向にあります。
会社員や公務員のように、土日休みで連休が取れるわけではないことを念頭に置いておかなければなりません。

■事務作業だけでは務まらない
調剤薬局事務の仕事は、簡単な事務作業だけではありません。レセプト作成や保険の知識などが必要であり、時には患者さんから薬に関する質問を受けることもあります。その対応は基本的には薬剤師が行いますが、その取次などの際に、ある程度の専門的な知識やスキルが求められます。ただ、知識やスキルは仕事をしながら学んでいくことができるので、未経験でも過度に不安を抱える必要はありません。

■正確で丁寧な対応が求められる
保険薬局は医薬品を取り扱っているため、患者さんの健康に直結する職種です。来局される患者さんは、心身に何らかの症状や不安を抱えているので、デリケートであることも多く、丁寧で思いやりのある対応が求められます。

調剤薬局事務の給料事情

調剤薬局事務の給料は、正社員の場合、月収15万円~18万円程度が相場といわれています。
賞与も含めた平均年収では、270万円~320万円程度になるでしょう。
年齢別に見ると、20~24歳の平均月収は約17万円、30~34歳は約18万円、40~44歳で約21万円です。
最大賃金は50~54歳の約25万円で、給料はキャリアによって上がっていく傾向にあります。

派遣社員として働く場合の平均時給は1,500円~1,800円程度、パート・アルバイトとして働く場合の平均時給は800円~1,000円程度です。
地域や就職先によっても変動があります。

どういう人が調剤薬局事務に向いているか

調剤薬局事務は誰でも目指せるとはいえ、医薬品を扱う薬剤師の指示のもと補助したり、患者さん対応をしたりと専門性が求められる仕事です。どのような人が調剤薬局事務に向いているか、求められる資質などについて見ていきましょう。

人と接するのが好きな人

事務職というと、デスクワークがメインであまり人と接することが少ないイメージがあります。しかし、調剤薬局事務は患者対応もするため、接遇スキルが必要です。
また来局した患者さんから処方箋を受け取ったり、保険証や問診票のやり取りをしたり、いわゆる「薬局の顔」としての役割も担っています。
保険薬局には、幅広い年齢層のさまざまな方が訪れます。中には体調が悪かったり、病院の待ち時間でイライラしていたりする方もいるかもしれません。
調剤薬局事務は、さまざまな人に対して真摯で思いやりを持った対応が求められるのです。そのため、人と接するのが好きな人、あらゆる人に思いやりを持って対応できる人が調剤薬局事務に向いているといえるでしょう。

チームワークが得意な人

保険薬局では、薬剤師と調剤薬局事務が連携を取って仕事を進めていきます。もし、コミュニケーション不足でうまく連携が取れなければ、薬の受け渡しにミスが生じることも考えられます。そのため、患者さん対応だけでなく、薬局内スタッフとのコミュニケーションも重要です。
チームの一員としてほかのスタッフとも連携を取り、協力しながら仕事ができる人は調剤薬局事務に向いているといえるでしょう。
逆に、自分のペースで仕事を進める人や他者との連携を得意としない人は調剤薬局事務には向いていないといえます。

丁寧で几帳面な人

調剤薬局事務は会計をはじめ、レセプト業務、入金管理といった、お金や点数に関する計算、入力作業も担っています。このような業務にはスピーディーかつ、正確な作業が求められます。
そのため、調剤薬局事務は丁寧に仕事と向き合う姿勢が求められ、几帳面で真面目な人のほうが向いているといえます。もちろん、スピーディーに仕事を進める能力も必要ですが、スピード感は慣れにも関係しているため、最初から素早く進められなくても問題ありません。

調剤薬局事務に関連する資格

調剤薬局事務は未経験、無資格でも仕事をすることが可能ですが、資格があれば知識やスキルを要していることの証になるため、就職の際に有利になるなど、多くのメリットがあります。ここからは、調剤薬局事務に関する主な資格について紹介します。

調剤事務管理士®

調剤事務管理士®は、技能認定振興協会(JSMA)が認定する民間資格です。取得することで、保険薬局で働く上で必要な事務スキルがあることを有していることの証明になります。
受験資格は特にないため、誰でも受験することが可能です。試験は毎月開催されており、在宅で受験することができます。

試験は、学科と実技の2種類があります。学科試験はマークシート形式で10問あり、法規(医療保険制度、調剤報酬の請求についての知識)、調剤報酬請求事務(調剤報酬点数の算定、調剤報酬明細書の作成、薬剤用語についての知識)について出題されます。 実技試験は、レセプト作成に関するマークシート問題が2問です。

>【技能認定振興協会(JSMA)公式サイト】調剤事務管理士®について

調剤事務実務士®

調剤事務実務士®は、内閣府認定特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が認定する民間資格です。試験は調剤情報実務能力認定試験というものですが、旧調剤情報実務能力検定試験2級と同等知識の保有を証明する認定資格です。調剤報酬請求の事務を行う上で必要な能力を持っていることの証明になります。
医療福祉情報実務能力協会による教育指定校もしくは指定された団体のみでの開催となっています。
試験内容は、学科試験と明細書作成試験で構成されています。学科試験では、薬学の知識、医療保険制度、点数算定、接遇マナーが出題範囲で、計20問出題されます。明細書(レセプト)作成試験では、一般、後期、小児、在宅、特定疾患のいずれか3つの処方箋から調剤報酬明細書等を作成します。

医療保険調剤報酬事務士

医療保険調剤報酬事務士は、医療保険学院が認定している民間資格です。取得することで調剤報酬、医療保険制度、医薬品に関する知識、レセプト業務のスキルを有していることの証明になります。
修了検定試験を受験するには、医療保険学院の調剤報酬事務教育講座を受講し、その講座内で行われる3回の中間テストに合格することが必須です。

>もっと詳しく!調剤事務の資格を、ソラストが解説

まとめ

調剤薬局事務について、仕事内容、メリット・デメリット、向いている人の特徴などについてお伝えしました。調剤薬局事務は誰でも目指すことができ、働きやすく、やりがいもある仕事です。人気の仕事であることから、就職内定を狙うライバルは多いかもしれません。これから調剤薬局事務を目指そうとしている人は、他者との差別化を図るためにも、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

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