ヘルパー(訪問介護員)とはどんな仕事?必要な資格や給料について解説
2023.06.12
【医療事務のパイオニアソラスト監修】日常生活が困難な高齢者や障害者に向け、身の回りのお世話や介護を行う人のことをヘルパー(ホームヘルパー)と呼びます。ヘルパーは病院や介護施設に勤務する介護職員とは違い、介護を必要とする利用者の自宅に訪問して介護サービスを提供します。この記事では、ヘルパーの仕事内容や働き方、必要な資格、給料について解説します。
ヘルパーの需要は、高齢化社会に伴い今後ますます増えると見込まれています。介護業界やヘルパーに仕事に興味のある方は、ぜひこの記事を参考にしてヘルパーを目指してみてくださいね!
ヘルパーとは
ヘルパーとは、正式名称を「ホームヘルパー(訪問介護員)」といいます。
日常生活が困難な高齢者や障害者の自宅を訪問し、利用者ができる限り自立した生活を送れるように、食事・排せつ・入浴などの身体介護や掃除や買い物といった生活援助を行います。通院の介助も行うこともあり、高齢化が進む現代ではヘルパーはなくてはならない存在です。
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ヘルパーと介護士との違い
「ヘルパー」と「介護士」は、正式な資格名ではないため明確な違いはありません。
どちらも介護の仕事に従事している人を指しますが、一般的には「ヘルパー」が介護サービスの利用者の自宅を訪問する人のことをいい、「介護士」は介護施設や病院などで介護サービスを行う、ヘルパーを含めた人々全般のことを指すことが多いようです。
また、「介護士」が「介護福祉士」の略称として用いられていることもありますが、介護福祉士は資格の名前です。介護福祉士の国家資格に合格していない場合は「介護福祉士」と名乗ることはできません。
ヘルパーの仕事内容
ここからはヘルパーの仕事内容について解説します。
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身体介護
身体介護は、利用者の身体に直接触れる介護サービスのことを指します。
例えば、食事や更衣・入浴・排せつの介助などがあります。床ずれ予防のために体位を変えることなども身体介護のひとつです。ボディメカニクスの技術を用いて、双方の負担を減らずテクニックも必要です。
また、介護福祉士や特別な研修を受けたヘルパーであれば、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアも行うことができます。
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生活援助
生活援助では、日常生活を送るうえで必要な家事を行うのが困難な場合にサポートをします。掃除・洗濯・調理・生活必需品の買い物・薬の受け取りなどがあります。
通院介助
訪問介護の利用者が自宅から病院へ通院する際に乗車・移送・降車の介助を行います。
通院先での手続きの手伝いや、移動の介助も必要に応じて行われます。
ホームヘルパーがやってはいけない業務
ホームヘルパーは家事代行ではありません。
あくまで利用者の自立を支援したり、日常生活を安全に送れるように介助したりすることがヘルパーの仕事です。
医療行為も同じくヘルパーの仕事ではありませんが、専門的な管理を必要としない「医療的ケア」の範囲であればヘルパーであっても行うことができます。
利用者に無理な要求をされた時はどうしたらいい?
訪問介護の現場では、1対1で利用者との距離が近くなり、無理な要求をされることも少なくありません。
そのような場面では、介護保険の範囲でできることとできないことがあるとはっきりとお伝えしましょう。
例外を作ってしまうと、「あのヘルパーさんはやってくれたのに」と他のヘルパーに迷惑がかかってしまったり要求がエスカレートしたりすることも考えられます。断り方に悩んだときは、同僚や上司に相談することがベストです。
ホームヘルパーの就職先「訪問介護事務所(ヘルパーステーション)」とは
ホームヘルパーの就職先は、「訪問介護事業所(ヘルパーステーション)」が一般的です。この訪問介護事業所(ヘルパーステーション)から、それぞれの訪問介護に適したスキルをもつ人材を派遣します。
要介護1〜5、要支援1・2の認定を受けた方を対象にサービスを行います。
活躍する場所は利用者の自宅がメイン
ホームヘルパーの活躍する場所は、利用者の自宅がメインです。
その他にも高齢者専用のアパートや、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームなどがあります。どこで働いた場合も、介護サービスの内容に大きな違いはありません。
ホームヘルパーに必要な資格について
ここからはホームヘルパーに必要な資格について解説します。
資格名 | 受験資格 | 業務内容 | 費用 |
---|
介護職員初任者研修 | なし | 身体介護生活援助 | スクールによる約5〜10万円 |
実務者研修 | なし | 身体介護生活援助 | スクールによる約5〜15万円 |
介護福祉士 | 実務経験や保有資格による複数の資格ルートあり | 身体介護生活援助 | 第35回介護福祉士国家試験の受験手数料は18,380円 |
生活援助従事者研修 | なし | 生活援助 | スクールによる約5千円〜3万円 |
費用についてはスクールや講座によっても幅があるため、ご自身で行きたいスクールや講座の費用を確認することをおすすめします。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職員初任者研修とは、訪問介護を行うために最低限必要な入門資格です。130時間の研修を受講することで、食事・更衣・入浴介助などの専門的サポートに関する知識とスキルを身につけます。
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実務者研修(旧ホームヘルパー1級)
実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格です。より専門的な知識とスキルを身に着けることができます。費用については、スクールによって初任者研修と実務者研修をセットで申し込むと割引になる場合もあるのでうまく活用しましょう。
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介護福祉士
介護福祉士は、ケアマネジャーと並んで介護における最上位資格です。介護の資格の中でも社会福祉士及び介護福祉士法によって認められた唯一の国家資格です。介護福祉士は「養成施設ルート」、「実務経験ルート」、「福祉系高校ルート」、「経済連携協定(EPA)ルート」の4つのルートのうちのいずれかを選択し、受験資格の条件を満たす必要があります。
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生活援助従事者研修
生活援助従事者研修は2018年にできた新しい資格で、介護サービスの中で生活援助の業務を行うための資格です。
59時間の研修を受講した後に、試験に合格することで資格を取得できます。
生活援助従事者研修は、都道府県が指定した学校や機関で学ぶことが可能で、一部は自宅での学習も許可されています。具体的な受講場所については、各都道府県や自治体の公式ウェブサイトをチェックして確認すると良いでしょう。
ホームヘルパーの給料について
ホームヘルパーの給料について、厚生労働省が発表した資料によると、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)で働く場合、 フルタイムで月給314,590円、パートタイムで201,120円でした。
参考 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課147ページ
さらに、どの資格を持っているかによって差が出ています。
資格があれば携わる業務の幅が広がるだけでなく、資格手当などによって収入をアップさせることができます。
資格名 | 平均月収 |
---|
介護福祉士 | 321,350円 |
社会福祉士 | 368,570円 |
介護支援専門員 | 333,480円 |
実務者研修 | 315,360円 |
介護職員初任者研修 | 309,060円 |
保有資格なし | 286,390円 |
参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 厚生労働省老健局老人保健課 182ページ
ホームヘルパーの目的は要介護者の「自立支援」
ホームヘルパーの本来の目的は、要介護者の「自立支援」です。介護サービスを受けることで、要介護度の進度が上がらないように維持したり、軽減させたりすることを目標としています。
利用者のできないことを全て代わりに行うのではなく、できることは本人にやってもらい、できないことができるようになるように少しずつサポートをしていくことを心がけましょう。
まとめ:利用者一人一人と向き合い「できない」を「できる」に
ヘルパーの仕事は、利用者と1対1で向き合いながら介護サービスを通して絆を深めることができます。利用者の「できない」を「できる」にする大切な仕事です。
担当している利用者の要介護度が下がった時や、それまでできなかったことができるようになった時にやりがいを感じられるでしょう。
訪問介護に興味がある方はぜひヘルパーを目指してみてください。