ケアマネ試験は難しい?試験内容や合格率、合格するためのコツを解説
2023.05.29 介護事務
【医療事務のパイオニアソラスト監修】介護業界で、スキルアップやキャリアアップのためにケアマネ試験を受けたいと考えている人は多いのではないでしょうか。ケアマネジャーとは、要介護者の生活状況やニーズに合わせた介護サービス計画を作成し、その実施をトータルに調整する介護保険のプロです。ケアマネジャーの資格を取ることで仕事の幅が広がり、介護業界で活躍できます。
この記事では、難しいといわれているケアマネ試験の内容や、合格率、合格に向けた勉強方法のコツなどをポイントをおさえてご紹介します。これからケアマネの試験を受けようと考えている人、なかなか合格できず悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
ケアマネ試験(介護支援専門員実務研修受講試験)とは
ケアマネ試験とは、正式には「介護支援専門員実務研修受講試験」という名称で、ケアマネジャーの資格を取得するための試験です。
国家資格ではありませんが、各都道府県が管轄する公的資格で、年に1度、毎年10月頃に試験が実施されています。※2023年(令和5年)のケアマネ試験は10月8日(日)に実施予定
受験資格のハードルが高く、合格率も低いので実務経験ときちんとした試験対策が求められます。
ケアマネ試験に合格した後は、実務研修を受講して自治体へ登録するなどの必要な手続きを行い、ようやくケアマネジャーとして働くことができます。
あわせて読みたい記事:ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?仕事内容や給料、必要な資格について
ケアマネジャーの資格を取るメリット
ケアマネジャーの資格を取ると多くのメリットがあります。大きく3つのメリットをご紹介します。
■給料が上がる
厚生労働省が発表した資料によると、フルタイムの介護職員の平均月収は約31万6千円で、ケアマネジャーの平均月収は約35万3千円と、なんと約4万円も多くなります。
■仕事の幅が広がる
ケアマネジャーの資格をとると、ケアプラン作成が任されるようになり、さまざまな介護施設や公共施設、居宅介護支援事業所などで需要があるため、自分にあった職場を選べます。また、通常の介護施設だけで働くだけでなく自分で事業所を立ち上げることも可能になり、キャリアアップも目指せるでしょう。
■就職・転職に有利
ケアマネジャーの資格をとると、豊富な専門知識と経験を持っていることがアピールでき、好条件の職場へ就職・転職がしやすくなります。
ケアマネ試験の受験資格
ケアマネ試験を受験するためには受験資格を満たす必要があります。2018年度(第21回)試験から条件が厳しくなりました。
受験資格は以下の通りです。
※都道府県によっては異なる場合があるので自分の受験予定の都道府県の担当部門のサイトをご確認ください。
①特定の国家資格を保有している人
介護福祉士や医師、看護師、栄養士など、主に医療や福祉に関わる国家資格をもち、それらの国家資格に基づく業務に5年以上かつ、900日以上の日数携わっていることが求められます。
②介護施設などで相談援助業務などに従事している人
介護施設で生活相談員や相談支援専門員などに従事していて、その期間が5年以上かつ、900日以上の日数携わっていることが求められます。
参考:令和5年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験(東京都福祉保健財団HP)
ケアマネ試験の内容
ケアマネ試験の内容は、「介護支援」と「保健医療福祉サービス」の2つの分野から出題されます。試験問題は全国統一です。
試験時間は120分で、合計60問が出題されます。5つの選択肢から複数を選ぶ5肢複択のマークシート方式です。
介護支援分野 | 25問 |
---|
保健医療福祉サービス分野 | 35問 |
合計 | 60問 |
合格ラインは毎年変わりますが、約7割と言われているので、どちらの分野でも偏りなく7割以上正解できることを目指して勉強に取り組むといいでしょう。
ケアマネ試験の受験方法
ここからはケアマネ試験の受験方法をスケジュールに沿って解説します。
スケジュールは都道府県によって若干異なりますので、お住まいの都道府県名で検索してみてください。
■案内受け取り:6月頃
試験案内と申込書を自治体が指定する窓口で直接受け取ります。
■申し込み:6月頃
試験案内に沿って申し込みを行います。
申込書、受験料の受領証、実務経験証明書(※)、証明写真などの必要書類を揃えて提出します。
※「実務経験証明書」は受験資格を満たしていることの証明書です。職場で発行してもらえます。
■受験票確認:9月中旬〜10月上旬頃
試験日の約2週間前になると受験票が自宅へ送付されます。内容を確認して試験に備えます。
■試験日10月上旬頃
試験日当日です。合格発表は例年12月上旬頃となっています。
ケアマネ試験合格率について
| 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|
令和2年度 | 46,415人 | 8,200人 | 17.7% |
---|
令和3年度 | 54,290人 | 12,662人 | 23.3% |
令和4年度 | 54,406人 | 10,328人 | 19.0% |
参考 第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
直近3年度分の合格率は17.7%、23.3%、19.0%で20%前後の合格率になっています。他の介護・福祉の資格と比較しても難易度が高い試験です。
ケアマネ試験の合格率は低い!難しいといわれている理由
ケアマネ試験の合格率を見てもわかるように、合格率は低く、難しいといわれています。
その理由について解説していきます。
解答方式による難しさ
ケアマネ試験の解答方式は、5つの選択肢から複数を選ぶ5肢複択のマークシート方式となっています。つまり、答えが1つではなく、複数あることになります。選択肢の中で1つがあっていても、他の選択肢が誤りであれば正解にはなりません。また、試験問題は120分の試験で60問あります。解答するのに1問2分の計算です。
より正確な知識や問題を解くスピードが必要とされるため、難易度が上がります。
試験勉強の時間を確保する難しさ
ケアマネ試験の受験資格をもつ人は、すでに介護福祉士や看護師などの国家資格をもち実務についている人がほとんどです。
日々の業務を行いながらケアマネ試験の勉強をしなければならず、十分な試験勉強の時間を確保するのが難しいといわれています。
受験資格が厳しくなったことによる難しさ
ケアマネジャーの質の向上を目的として、2018年に受験資格の見直しがされました。ケアマネジャーは国家資格等に基づく業務、または相談援助業務の経験が5年以上が必要です。
それによって受験者も激減。2017年の受験者が131,560人だったのに対し、2018年は49,332人となりました。昨年、2022年では10,328 人まで減っています。
受験資格が厳しくなったことで難しいと感じる人も多くなっているようです。
参考:第25回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
ケアマネ試験に合格するための勉強のコツ
ここからは難易度が高いといわれるケアマネ試験に合格するための勉強のコツをご紹介します。
早めに試験勉強に取り組む
ケアマネ試験に必要な勉強時間は100〜200時間といわれています。日々の実務を行いながら勉強をしなければならない人にとっては、いち早く試験勉強に取り組み、すき間時間を利用しながらコツコツと学ぶことが大切です。専門知識のインプットからはじめていきましょう。
過去問をしっかりと時間を計って解いていく
ある程度の専門知識のインプットが終わったら、過去問を必ず解くようにしましょう。ケアマネ試験では、過去に出題された重要な項目が繰り返し出題されていることも多いです。過去問を繰り返し時間を計って解くことで、出題形式に慣れ、時間配分もうまくできるようになります。過去5年分は解いておきましょう。
わからない用語は確実に覚えていく
ケアマネ試験の問題には医療や介護の専門用語や法律や制度についての用語が多く登場します。わからない用語があると、出題されている問題の意味が分からずに答えられなくなってしまうこともあるので、確実に覚えていきましょう。意味が分からない専門用語は何度も見返せるように印をつけたりまとめておくのがおすすめです。
通信講座を利用するのも手
ケアマネ資格の勉強は独学でも可能ですが、働きながら試験対策を行うのでは勉強のスケジュールが乱れやすくなります。
通信講座を利用すれば、費用はかかりますが、働きながらでも無理なく続けられるカリキュラムになっていて、質問制度があるところも多いので効率よく試験勉強ができます。
まとめ:ケアマネ試験に合格してキャリアアップを目指そう
ケアマネ試験は難易度が高いですが、合格すれば正確な専門知識と豊富な経験を兼ね備えたケアマネジャーとしてキャリアアップが目指せます。
まだ基礎資格をとってない人には、介護福祉士の資格を取得することがおすすめです。
あわせて読みたい記事:介護福祉士を目指す!資格の取り方や試験の詳細、合格率について徹底解説
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