レセコン(レセプトコンピュータ)とは?電子カルテとの連携やできることを徹底解説

レセコン(レセプトコンピュータ)とは?電子カルテとの連携やできることを徹底解説

2023.07.26 医療事務 介護事務 調剤薬局事務

【医療事務のパイオニアソラスト監修】医療事務や介護事務のレセプト業務には必須といえるレセコン(レセプトコンピュータ)。

聞いたことはあるけれど、レセコンを使うとどんなことができるのか、自分に使いこなせるか不安に思っている人もいるでしょう。
この記事では、レセコンについて、できることやメリットもあわせて紹介します。

医療事務や介護事務を目指す人は必見です。

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レセコン(レセプトコンピュータ)とは

レセコンとは、レセプトを作成するソフトウェアのことです。

「レセプトコンピュータ」を略して「レセコン」と呼ばれています。医療事務コンピュータと呼ばれることもあります。

インターネットを使用できる環境なら、どこの医療機関にも導入できます。

厚生労働省の「電子レセプト請求普及状況」によると、紙レセプト使用率は1.4%にしか過ぎず、全国の病院、診療所(クリニック)、歯科、薬局での電子レセプトの使用率は98.6%となりました。

普及率が高まっているレセコンは、電子カルテと連携しているものや、多機能なものなどさまざまな種類があります。

レセコンの種類には、院内にサーバーコンピュータを設置し、データ保存や管理を医療機関側で行う「オンプレミス型」と、インターネット上のクラウドサーバーからシステムを利用し、クラウド上にデータを保管する「クラウド型」の2種類があります。

導入時に支払う料金が少なく抑えられ、簡単な方法で導入できるクラウド型のレセコンが人気です。

レセコンで作成する「レセプト」とは?

レセプトとは、医療機関が患者さんに提供した医療行為に対して、保険者から支払われる診療報酬を請求するための書類です。
保険診療の際、1〜3割の患者さんの自己負担分以外の費用を、公的機関に請求するためにレセプトを作成します。

レセコンを使用することで、レセプトの作成が自動化され、医療機関の事務作業の効率化が図られるのです。

毎月、医療機関がレセプトを作成し、翌月1〜10日に審査支払機関に請求します。
その後、支払機関によって保険診療が適正に実施されているかなどが審査され、診療報酬の支払いが確定します。

あわせて読みたい記事:レセプトとは?医療事務に必須!業務内容やおすすめの資格を徹底解説

レセコンを使う人は誰?

レセコンを使うのは、医療機関の会計に携わる事務スタッフです。

具体的には、病院やクリニックの窓口で働く医療事務スタッフ、介護業界で働く介護事務スタッフ、調剤薬局事務スタッフなどがレセコンを使用します。

レセコンでできること

「レセコン」でできることをまとめてみました。

  • ● レセプト(診療報酬明細書)の作成
  • ● 診療内容の登録と点数計算
  • ● 入力データのチェック
  • ● 処方箋の発行
  • ● 請求業務の管理
  • ● 受付業務の効率化
  • ● 電子カルテとの連携

患者登録、保険証の確認、会計業務などにも使用できます。

医科、歯科、調剤、包括医療費支払い制度(DPC)4種類があり、それぞれに特化したシステム構築がレセコンにはあります。

レセコンの活用により、医療機関の業務は効率化され、事務スタッフの負担も軽減されることでしょう。

定期的に実施される診療報酬改定などの情報も、レセコンは都度自動でアップデートされます。「改定前の内容で算定してしまった」といったミスも防げるのはレセコン導入の強みです。

では、できることをそれぞれ詳しくみていきましょう。

レセプト(診療報酬明細書)の作成

レセコンを使うと、レセプト(診療報酬明細書)の作成が簡単にできます。
診療内容などのデータをレセコンに入力すると自動的に計算が行われ、レセプトが作成される仕組みです。

レセプトには、患者氏名をはじめとした個人情報、医療機関名、傷病名、治療内容、処方薬等が記載されています。

ちなみに、レセコンで作ったレセプトはオンラインで提出(オンライン請求)が可能です。

レセコン導入にはコストがかかるというデメリットがありますが、レセコンを通してオンライン請求することはそれを上回るメリットが多くあります。

【レセプト導入のメリット】

  • ● 紙レセプトの記録・印刷が不要
  • ● 記入漏れなどの手書き起因のミスを防止
  • ● 郵送提出による紛失や誤配送のリスクを回避
  • ● 提出前のエラーチェック(事前点検)が自動化
  • ● 返戻レセプトのデータ受け取りが可能 など

レセコンを導入すると、印刷代や作業時間などのコストが削減でき、さまざまなリスクを回避できるでしょう。

他にも、提出したレセプトの内容に誤りや不備があった場合には、データで返戻されるため修正が素早くおこなえることもメリットです。

診療内容の登録と点数計算

レセコンは、診療内容を登録すると自動で点数計算をしてくれます。

電子カルテと連携している場合は、電子カルテに入力するとレセコンが自動計算し、反映される仕組みです。

レセコンが普及する前は、レセプト作成は手作業で診療項目を探して手書きして作っていました。しかし、レセコンを使うとたった5ステップで作成できるようになったので、大幅に業務の効率があがりました。

レセコンは医療・介護業界の業務効率化に大いに貢献しているソフトウェアといえます。

【レセプト作成の手順:5ステップ】

  • 1.患者さんの診察
  • 2.診療内容に応じた番号(品番やコードと呼ばれる英数字)を選択し実績を入力
  • 3.レセコンによって診療報酬を自動計算
  • 4.レセプトチェック
  • 5.医師に確認

まず診察時に医師が電子カルテを入力します。

その後、医療事務が入力漏れが無いかなどを確認するためにカルテをチェックします。

チェックは、患者さんが外来を受診するたびに、在宅医療の患者さんは訪問ごとに、入院患者さんは月に数回など、医療機関によって確認頻度は異なるでしょう。

電子カルテと連携しているレセコンは、医師のカルテ入力が手順2にあたり、内容がそのまま反映されるため保険点数は入力不要です。

レセプトは月に1回作成します。月末にまとめて行う確認作業を見越して、なるべく毎回の入力時に算定漏れに繋がる入力ミスを無くしておくことが重要です。

入力データのチェック

入力データのチェックは、レセプト業務の最重要部分といえる業務です。

別ソフトを使ってレセプトチェックをしている医療機関もありますが、チェック機能を備えたレセコンを使うことで入力データの自動チェックができます。

算定項目や算定回数、保険や公費の入力漏れの有無などを素早く点検してくれるので、ミスがあった場合はすぐに修正が可能です。

カルテ入力に関係しているミスや疑問点がある場合は、入力した医師に必ず確認しましょう。

処方箋の発行

レセコンは、処方箋の発行もできます。

病院受診後は必ずといっていいほど、処方箋を受け取ることが多いかと思います。

受診後すぐに会計で明細書や処方箋を受け取れるのは、レセコンで発行しているからです。

使用する電子カルテによりますが、処置と薬のセット登録なども可能です。

「この処置にはこの薬をよく使う」
「この診断の時にはこの薬を何日分処方することが多い」

こんな場合は、セット登録をしておけばワンクリックでレセプトに反映されるため非常に便利です。

請求業務の管理

請求業務もレセコンで管理できます。

レセプトは患者さん1名に対して毎月1件(※)作成し、全患者さん分をまとめて毎月請求します。

※ 1件とは1人・1ヶ月間・1医療機関の単位です。同じ医療機関のなかでも、医科外来・医科入院・歯科外来・歯科入院など分けて計算する必要があります。

すべての請求業務の進捗や漏れ、過誤などが無いかを人間の目だけで確認することは膨大な時間がかかってしまいます。

レセコンのなかには、それを可視化してくれる機能や経営分析レポートを作成できる機能が搭載されている製品もあります。

請求業務のデータ活用を行い、レポート作成してくれるので、経営課題に気づき改善につなげることもできる重要なツールです。

受付業務の効率化

レセコンによって受付業務の効率化も期待できます。

例えば、初診の患者さんに対してはカルテや診察券を作成しますよね。
再診の患者さんに対しても、受診科や症状などを確認してから案内するといった業務の流れがあります。

このような「患者登録業務」といわれる受付業務の一部が、レセコンにより円滑に行うことができるのです。

最近は受診予約システムと連携できるレセコンも増えており、これによって受付業務での確認事項や対応時間が短縮されます。
レセコンによって会計業務のスピードもアップし、患者さんの待ち時間も短縮されます。

1人の患者さんから1回ずつ待ち時間を確認されたとしても、10人の方から聞かれる場合の対応コスト、コミュニケーションコストのインパクトは大きいです。

その対応が不要となるほか、長い待ち時間に生じる患者さんの身体の負担も軽減されるため、双方にメリットがあります。

電子カルテとの連携

電子カルテと連携できるレセコンが多く普及しています。

電子カルテとは、医師が診療の経過を記入していた紙のカルテ(診療録)を、電子情報として記録し、カルテを編集・管理するシステムのことです。

もちろんレセコン単体での使用もできますが、電子カルテとの連携がすすめられている理由は、業務負担の軽減と業務効率化につながるためです。

電子カルテは、「レセコン連動型」と「レセコン一体型」の2種類あります。
連動型は、電子カルテとレセコンのシステムが別々になっているのに対して、一体型はシステムが1つになっているため、受付から会計までの管理が統一できます。
入力漏れや情報の重複などのヒューマンエラーが防げるほか、何度も入力する手間がはぶけて使いやすいです。

一体型はメンテナンスのタイミングが同じ場合も多く、事前の業務調整がしやすいでしょう。また、サポート体制などを考えても一体型がおすすめです。

「不具合があり、レセコン側の問題だと思いサポートに問い合わせたら、実は電子カルテ側の問題だった。」なんてこともあります。

一体型の場合は問い合わせが一度で済んだり、すぐに問題解決につながるといったメリットは大きいですね。

レセコンは医療事務未経験でも使える?

レセコンは医療事務未経験でも使えます。

レセプト作成の手順を明確化して、操作しやすく、正確な請求を行うために作られたのがレセコンです。

パソコンやスマホを操作できる方なら、抵抗なく使える方が多いかと思います。

実際に現場でレセコンを初めて使う方も初日から問題なく触れていますし、初月の請求業務は自ら操作して担当の先輩とともに業務を進められていました。

レセコンの勉強はどこでできる?

レセコンは開発したメーカーによって使い方や機能が異なるため、事前に学習することは難しいです。就職後、現場で学ぶことがメインになるでしょう。

レセコンのサポート体制や支援の方法もメーカーによって異なっています。来院しての直接サポートや音声電話、ビデオ通話、オンラインチャットなど選択肢が豊富な会社もあります。

導入予定または導入されているレセコンのメーカーの使い方をよく確認すること、メーカーのサポート担当者と日頃からよくコミュニケーションをとることで、レセコンへの苦手意識はなくなりますし、現場で学べることも多くあるでしょう。

レセコンにはできることが多く、基本操作も簡単で使いこなしやすいものですが、やはり表示が正しいかどうかの確認や判断をするためにも、レセプトの知識は必須です。

レセプトについての知識をつけておくことで、カルテの入力漏れが無いかなどすぐに気がつくことができます。

医療事務の業務に役立つ資格の学習内容は、レセコン使用時にも活きること間違いなしですよ!

ソラストでは、どの機種で算定を確認(レセプト点検)することになっても大丈夫なように、算定の基礎を学習できる教材を用意しています。

レセプト業務に不安や疑問がある人はぜひ、チェックしてみてくださいね!

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まとめ:レセコンをうまく使いこなして業務を効率化しよう!

全国のほとんどの医療機関で導入されているレセコン。医療事務の仕事に関心のある方は、必ずレセコンを使って仕事をすると想定して良いでしょう。

現在医療事務として勤務されている方もレセコンを使いこなすことで、さらに業務を効率化できるかもしれません。

医療事務やレセコンの使用が未経験でも、パソコン操作に慣れ、レセプトの勉強をしておくことで正社員採用を目指すこともできます。

レセプトの知識をつけ、レセコンを使いこなせる人材となり、医療事務のスキルアップを目指しましょう!