介護事務は未経験でも働ける?仕事内容や就職先について解説

2022.10.21 介護事務

日本は高齢化が進んでおり、今後も介護を必要とする人が増えていくと予想されています。そのような背景から、介護業界での求人を多く見かけるようになり、興味を持たれる人も多いかと思います。そのなかで、介護業界には介護事務という職種があります。介護関連となると経験が求められるイメージがあるかもしれませんが、未経験者でも働けるのでしょうか。今回は、介護事務について、仕事内容や就職先などを紹介します。

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介護事務とは

介護事務とは、介護施設で働く事務員のことをいいます。主に介護施設で受付業務をしたり、レセプトと呼ばれる介護報酬請求業務を担う、介護施設になくてはならない職種の一つです。医療事務と介護事務は似ていますが、仕事の専門性に違いがあります。医療事務は、主に病院やクリニックなど医療機関での受付やレセプト業務が中心で、医療保険に関する知識が求められます。一方、介護事務は介護保険に関する専門知識が求められるため、医療事務とは違ったスキルや能力が求められます。

介護事務の仕事内容

介護事務の仕事内容は、主に以下のものが挙げられます。

受付業務

介護施設の入り口付近に配置され、主に来客の案内などの対応をします。医療機関の場合は次々と患者さんが訪れることがありますが、介護施設はそのようなことはありません。
介護施設では主に、入所・入居希望者、業者、利用者のご家族などが時折訪れる程度なため、忙しくて手が回らなくなるような心配は基本的に不要でしょう。
しかし、電話応対、郵便物や書類などの仕分け、来客のお茶出しなども介護事務の受付業務に含まれます。

事務業務


介護サービスに必要な書類の作成や管理、利用者さんへの請求書や明細書の作成・送付といった書類業務も介護事務の仕事です。また、職員のシフト作成や勤怠管理、給与計算、備品購入など多くの事務的な作業も担います。

介護報酬請求業務

介護報酬請求業務と呼ばれる介護の請求業務は、介護事務にとって非常に重要な業務です。介護保険サービスの利用金額は、被保険者(利用者)が1~3割の負担、残りの金額を保険者(市町村)が負担するシステムとなっています。市町村が負担する報酬を「介護報酬」といい、介護報酬を受け取るには、介護給付費明細書(レセプト)という書類を作成・点検し、提出する必要があります。
介護報酬請求業務は、介護事業所の収入を得るための業務であるため、介護事務の重要な仕事として位置づけられています。

介護事務として働くためには

介護事務として働く方法は、介護事務の募集求人に応募して採用されることです。未経験者歓迎と記載されている求人もあり、資格や経験がなくても仕事に就くことは可能です。しかし、介護事務は介護保険についての専門知識が求められるため、資格を持っていたり、経験があったりする人のほうが優遇される傾向にあります。未経験者であれば、ある程度の知識を有しているに越したことはないので、事前に独学でも学んでおいたほうがよいでしょう。

介護事務の就職先

介護事務として活躍できる場所は主に、介護保険サービスを提供する施設や事業所です。介護サービスを提供している場所は多岐にわたり、それぞれ仕事内容や1日の流れなどに違いがあるので、自身がどのような環境で働きたいのかを考慮して選択しましょう。ここでは、介護事務の主な職場の特徴についてまとめました。

特別養護老人ホーム

公的施設のなかで最も多いのが特別養護老人ホームで、原則として要介護3以上(一部例外あり)の認定を受けている人が利用できる施設です。入居して、入浴や食事といった日常生活動作の介護を受けながら生活することが可能です。地域によっては入居待機者が多いこともあります。

介護老人保健施設

病院で入院していた要介護1以上の人が、在宅復帰と在宅療養支援を行うことを目的とし自宅復帰するまでの間、リハビリをするために利用される介護施設です。原則として入居期間は3〜6ヶ月程度とされていますが、例外もあります。

介護療養型医療施設

要介護1以上で、医学的な管理を必要とする方を対象にした介護保険施設です。
食事・入浴などの介護、医師や看護師による医療的管理、理学療法士や作業療法士などによるリハビリなどが提供されます。
喀痰(かくたん)吸引、各種カテーテル、経管栄養などの医療的ケアが受けられるのが特徴です。
(介護療養型医療施設は2023年度廃止が決まっており、介護医療院へ転換することとなっています。)

グループホーム

要支援2以上の、原則65歳以上の認知症高齢者が利用できる施設です。その施設がある自治体に住民票を持つ人が入居可能となっています。専門職員から介護サービス、機能訓練等を受けながら、家事を分担し共同生活を送っていきます。

デイサービス

通所介護ともいわれ、日帰りで介護サービスを受けることのできる施設です。要介護1~5の人が対象で、要支援1・2の人が利用することはできません。入浴や食事、排泄などの介護以外にも、レクリエーションを楽しむことも可能です。

訪問看護ステーション

訪問看護をおこなう看護師や理学療法士などが所属している事業所です。職員は訪問看護ステーションを拠点とし、利用者の自宅や施設へ訪問し、状態観察や看護、リハビリなどのサービスを提供します。

介護事務に必要な知識やスキル

介護事務として働くために必要なスキルは主に3つ挙げられます。特に未経験から働く場合は、事前にこれらのスキルや知識を身につけておいたほうが安心でしょう。

介護保険やレセプトに関する知識

介護事務の仕事では、介護保険制度に基づいた点数計算やレセプト作成・点検が欠かせません。未経験でも仕事をしながら覚えていくことは可能ですが、事前に身につけておいたほうがスムーズに仕事を進めることができるでしょう。
また、すでにヘルパーなどの仕事をしている方にとっては、介護事務に関する資格を取得することで活躍の場が広がり、キャリアアップやキャリアチェンジにつなげることもできるでしょう。

パソコンスキル

レセプト作成・点検、書類作成、会計など、介護事務の仕事をするうえでパソコンスキルは必須です。複雑な応用スキルまでは必要ありませんが、ワードやエクセルなどの基本操作やスムーズなタイピングスキルは身につけておくようにしましょう。

コミュニケーション能力

介護事務は事務仕事がメインかもしれませんが、電話応対や来客対応、スタッフとの情報交換など、コミュニケーション能力を必要とされる場面が多くあります。時には利用者やそのご家族とも関わることがあるため、相手に合わせた適切なコミュニケーション能力が求められるでしょう。

まとめ

介護事務の仕事内容や就職先、必要なスキルなどについて解説しました。今後も高齢化が進む我が国において、介護業界の重要性はますます高まることが予想されます。
介護事務は未経験からでも比較的挑戦しやすく、通信講座などでスキルや知識を学ぶことができる職種です。検討している方は是非チャレンジしてみてください。