医療秘書とは?医療事務との違いや仕事内容、給料や資格について解説
2023.06.12 医療事務
【医療事務のパイオニアソラスト監修】医療秘書は、事務作業はもちろん医者や看護師の助けとなるサポート役です。しかし、その仕事の具体的な内容や医療秘書になる道筋はあまり知られていません。
この記事では医療秘書について、医療秘書・医療事務・医師事務作業補助者との違いや、医療秘書の主な仕事内容、給料、取得しておくと有利な資格について分かりやすく説明します。
ぜひ、この情報を活用して医療や福祉の現場で活躍するための一歩を踏み出してみてください。
医療秘書とは
医療秘書とは、医師や看護スタッフの秘書業務を担当する職業です。医療従事者のサポート役といえます。
仕事内容として、クリニックや総合病院など、医療機関でスムーズで適切なサービスが提供されるように、医療従事者をサポートする業務を行います。
秘書業務だけでなく医療事務としての業務もあるため、秘書としての知識や医療知識、レセプトの知識が必要です。
高齢化が進む現代では、医療サービスへの需要も高まります。
そのため、医療秘書は医師や看護師の業務への負担を軽減するためにも欠かせない存在です。
医療秘書・医療事務・医師事務作業補助者の違いについて
間違われやすい3つの職種について、違いをそれぞれ説明します。
仕事の内容に共通する部分はありますが、医療事務と医療秘書、医師事務作業補助者との大きな違いは、メインとなる業務の違いです。
医療事務は医療機関の顔として事務業務をこなすのに対して、医療秘書は医師や看護師をサポートします。
医師をサポートする医師事務作業補助者との違いは、医師が行う業務のうち事務作業のみを代行します。
■医療秘書
- ・一般企業における秘書業務と同一の業務
- ・一般企業にはない医療知識を要する秘書業務
- ・医師や看護師の事務的なサポート
■医療事務
- ・クリニックや病院での受付としての勤務がメイン
- ・患者対応や業者対応を行う
- ・毎月の保険請求(診療報酬明細書=レセプトの作成)や会計事務全般を担う
あわせて読みたい記事:医療事務とは?仕事内容や給料、メリット・デメリットについて徹底解説
■医師事務作業補助者
- ・カルテ入力の代行(診療情報提供書や診断書、行政への届出など)
- ・医療クラークとも呼ばれ、医師の医療行為以外の事務的な部分を担う
あわせて読みたい記事:医師事務作業補助者とは?仕事内容や給料、おすすめの資格について解説
医療秘書の仕事内容
細かい部分は職場によって変わりますが、主に以下の業務があります。
医療秘書は、一般企業における秘書業務と同一の業務や、医療知識を要する秘書業務を行います。医師や看護師が行っている事務的なサポートも業務の一つです。
カルテ管理、診療記録の入力や、診断書や証明書などの文章作成、行政上の届け出、報告なども行います。
また、医療事務が行うレセプト業務や窓口での対応や患者対応など医療事務の業務も兼務し業務内容は多岐にわたります。
医療従事者にとってなくてはならないサポート役であり、裏方として社会に貢献するため、大きなやりがいを感じられるでしょう。
秘書業務
秘書業務は以下の通りです。
■院長や医師のスケジュール管理(学会や会議)
学会は全国で開催されるため、移動を含めた前後のスケジュール管理が重要です。
■出張手配
飛行機や新幹線などの移動手段の手配から、会食会場の手配まで幅広く担う場合もあります。
■カンファレンスなど資料準備
カンファレンスや学会発表を行う際の資料作成のために学術支援業務を行います。業務内容は、論文検索や研究データの入力などです。
パネル発表に使用する特殊なサイズの用紙印刷ができる印刷所手配も大切です。職場近くの印刷所を抑えておきましょう。簡単な操作で、Web上で手配が完結する学会用ポスター印刷サービスもあります。
■来客・電話対応
勤務先により異なりますが、幅広い内容の電話に対応します。
その内容はクリニックの場所や診療時間に関する患者さんからの質問や、レセプト請求に関する国保連からの問い合わせまでさまざまです。
来客は採血の回収業者や備品のお届け、患者対応が主です。
医師や看護師宛ての電話や来客だとしても、直接通すのではなく一度秘書が確認します。
■医療情報の収集・整理
定期的に行われる保険の法改正や新薬などの情報を収集し、整理して医師に報告します。
■書類作成、整理
行政に届出する書類、診断書や紹介状などの書類を作成し、整理します。
■院内の備品管理
医療事務が担当する職場もあれば、医療秘書の業務範囲とされている職場もあります。入職前に業務範囲を確認しましょう。
また、近年増えている在宅医療クリニックなど高齢者医療や医療的ケア児に関する職場では、患者さんのご家族や訪問看護、デイサービスやケアマネジャーなど、周りで支援されている方々との連携も大切な業務のひとつです。
事務・保険請求業務
事務・保険請求業務は大きく分けて3つあります。
- ・レセプト業務
- ・カルテ入力、管理
- ・窓口、受付対応
事務・保険請求の業務には、カルテ入力や管理を行い、外来患者や入院患者の対応、病棟の配置、診療費の請求(レセプト作成)なども含まれています。医療保険制度に関する詳細などでは、レセプトの専門的な知識が必要です。
これらの業務は通常「医療事務」が担当しますが、医療秘書も秘書の業務と並行して実施することがあります。
医療秘書の給料(年収・月給・時給)
実際に大手求人サイトで医療秘書の給料を確認してみました。
全国で給与の地域差などもありますが、基本的には医療事務が年収約306万円、医療秘書が年収約302万円と給与に差はほとんどないようです。
クリニックや病院によっては業務内容の多さから医療秘書の方が給料が高い場合もあります。
仕事をする期間や就労条件、実務の内容によっても異なりますので求人情報で確認してみてください。
医療秘書になるために必要な資格はある?
医療秘書になるために特別な資格は必要ありません。
そのため未経験・無資格からでも就職・転職しやすい職業として、とくに女性に人気の高い職です。
とはいえ、資格を取得していた方が現場で活躍しやすくなります。
医療秘書になるために役立つ資格として、2つの資格をご紹介します。
医療秘書技能検定試験
医療秘書技能検定試験とは、医療秘書の能力向上、人材育成のためにつくられた資格です。
厚生労働省が推進するチーム医療を叶えるためにも、医療スタッフ全体の能力向上が期待されています。
最近は医療実務者の受験も増加傾向にあります。
主催団体 | 一般社団法人 医療秘書教育全国協議会 |
試験日 | 年2回(6月、11月) |
受験資格 | 誰でも受験可 |
概要 | ・1級、準1級、2級、3級の4段階に分かれる ・準1級以上の合格で、医師事務作業補助技能認定の条件を満たす ・連続する2つの級は併願が可能 |
出題内容 | 医療秘書実務、医療機関の組織・運営、医療関連法規医学的基礎知識、医療関連知識医療事務(レセプト作成、診療報酬点数表の理解) |
受験料 | 1級:6,500円 準1級:5,800円 2級:5,100円 3級:4,000円 ※併願は割引が適用1級・準1級:12,300円 準1級・2級:10,900円 2級・3級:9,100円 |
医療秘書技能検定試験|一般社団法人医療秘書教育全国協議会
日本医師会認定医療秘書
専門的な医療事務の知識と最新の情報処理技能を兼ね備えた医療秘書を養成するという目的でつくられた資格が、「日本医師会認定医療秘書」です。医師が本来の専門的な業務に専念できるように補佐する役割としての医療秘書を養成するためにつくられました。
令和5年3月時点で、11,660人の認定者数がいます。
主催団体 | 公益社団法人日本医師会 |
試験日 | 年1回(2月) |
受験資格 | 日本医師会が認定した養成機関でのカリキュラムを修了または修了見込みのある者 全日制:1年間/通信制:2年間 |
概要 | ・認定養成機関におけるカリキュラムを修了し、認定試験に合格かつ規定の秘書技能科目を取得することで認定 >日本医師会認定医療秘書養成機関一覧 |
合格率 | 約85%以上 |
出題内容 | (1)医療・保健・福祉基礎教科・健康とは、疾病とは・患者論と医の倫理・からだの構造と機能・臨床検査と薬の知識・医療にかかわる用語・コミュニケーション論(2)・医療秘書概論・医療秘書実務・医療情報処理学・医療情報処理演習・医療関係法規概論 |
日本医師会認定医療秘書試験|公益社団法人日本医師会
医療秘書に求められるスキル
- ・正確なPC操作や事務処理スキル
- ・コミュニケーションスキル
- ・スケジュール管理やビジネスマナーのスキル
医療秘書は、医療のサポート役としてで大切な役割を果たします。
医療事務関連の知識はもちろん、正確でスピーディなPCスキルや事務作業の処理能力が必要です。
また、患者やスタッフとのスムーズなコミュニケーションが求められ、日々のスケジュール管理や書類整理もその手にかかります。
医療秘書は、思いやりの心と組織力を兼ね備えた人にピッタリです。
医療秘書に向いている人
- ・人とコミュニケーションをとるのが好きな人
- ・几帳面で正確に仕事をこなせる人
- ・人のサポートをして役に立ちたい人
医療秘書に向いている人は、几帳面で正確さと効率性を持ち、人とのコミュニケーションを取るのが好きな人に向いている傾向があります。
また、新しい知識を追求する情熱と、特に医学や医療に関連するものに対する探究心が必要です。
そして、表舞台ではなく裏方としてサポートを行う役割を果たすことに喜びを感じ、その中で他の医療従事者を支える能力を持つ人が最も医療秘書として適しています。
まとめ:医療秘書はサポートのプロ!医療機関を支える大切な仕事
医療秘書の業務内容は、医療事務と似ている部分があります。
そこで医療事務の資格と医療秘書の資格を両方取っておくと、知識の幅が広がりスキルを身につけることができるでしょう。
医療秘書は異業種からの転職や、まだ実務経験が無い方の募集や採用も、随時積極的に行われている職種です。未経験でも資格取得のための勉強をしてから求人に応募することで、面接でアピールできることも増えます。
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