介護事務の資格とは?資格の種類やそれぞれの特徴について
2021.10.16 介護事務
日本は高齢化社会をむかえており、介護分野での仕事の需要が高まっています。介護サービス施設や事務所で働くためには、介護保険に関する知識が求められます。 この記事では、介護分野での活躍には欠かせない介護事務の資格・試験の種類について紹介します。
2021.10.16 介護事務
日本は高齢化社会をむかえており、介護分野での仕事の需要が高まっています。介護サービス施設や事務所で働くためには、介護保険に関する知識が求められます。 この記事では、介護分野での活躍には欠かせない介護事務の資格・試験の種類について紹介します。
介護事務は、介護施設や介護サービス事業所で働く事務職のことをいいます。病院やクリニックの医療事務と同様、受付業務や電話対応などを行うのに加えて、介護報酬請求業務を行うのが特徴です。そのため、通常の事務作業に加え、介護保険に関する専門知識が必要とされます。
介護報酬請求業務とは、レセプトと呼ばれる介護給付費明細書や請求書を作成し、国民健康保険団体連合会(国保連)に提出をする業務をいいます。介護報酬請求業務を行うことによって市町村から介護報酬が受けられるので、施設の経営に関わる重要な業務であるといえます。
介護サービスを受ける利用者は、全額を負担しているわけではありません。基本的に利用者は介護サービス料金の1割(一定以上所得者の場合は2割または3割)を負担して、残りは国や市町村が介護施設に支払うような仕組みとなっています。そのため、介護報酬請求業務が適正に行われなければ、その施設に正しく報酬が支払われないのです。
介護事務として仕事に就く際、必ずしも資格は必要ではありません。しかし介護事業所や施設では、介護保険に関する専門知識を持ち、即戦力として働くことのできる人材を求めています。そのため、介護事務の資格を取得しておけば、専門知識の「証」として就職や転職の際に有利に働くこともあるでしょう。
介護事務の資格は、民間資格として多くの団体が資格試験を主催しています。誰でも受験できるものもあれば、各団体が指定する養成校でカリキュラムを修了しなければならないものもあり、資格によって難易度もさまざまです。介護事務として働く上での主な資格・試験についてみていきましょう。 (2022年6月時点の情報です)
技能認定振興協会(JSMA)が認定する介護事務の資格です。介護事務としての業務をこなすことはもちろん、ケアマネージャーの業務をサポートできるような知識・技能があることを証明するものです。誰でも受験することが可能で、在宅での受験にも対応しています。
試験は毎月(第4土曜日翌日の日曜日)実施されており、マークシート形式です。
学科は法規・介護請求事務の2分野、実技は分野選択式で全6問中2問を選択します。
学科・実技ともに80%以上の得点で合格です。
学科・実技ともに、60%以上の得点で、かつ全問題の得点合計が80%以上で合格と判定します。
合格率は70%で、最短1ヵ月で修了可能です。
取得者は介護事業所だけでなく、国保連合会や介護コンピューターシステム会社、損害保険会社など幅広い職場で働いているケースもあり、職域が広がる可能性のある資格です。
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技能認定振興協会(JSMA)
日本医療教育財団が認定している介護事務の資格です。介護事務に必要なスキルやコミュニケーション、老人・障害者心理、医学一般の知識など、幅広い分野についての知識を有することを認定する資格です。試験は、誰でも受験することが可能で、年に6回(2月、4月、6月、8月、10月、12月)実施されています。合格率は60~70%となっています。
ケアクラークの試験は、宅配便にて試験問題が自宅に届き、試験日当日に自宅にて試験問題を解いて、翌日までに返送で提出をします。これは、前述の介護事務管理士と同様の在宅受験スタイルです。
医療福祉情報実務能力協会が認定している介護事務の資格です。介護施設や医療機関にて介護保険請求事務を行ったり、受付・窓口業務を担当できる知識・スキルが身についていることが認定されます。受験資格に制限はなく、誰でも受験することができます。指定された試験日に試験問題が届き、自宅での受験が可能です。試験問題は、介護保険制度や介護報酬に関する問題と、レセプト作成をする実技形式から構成されています。
また介護事務実務士は、指定の通信講座を修了することでも資格が取得できるので、比較的ハードルが低い介護事務の資格といえるでしょう。
日本医療事務協会が主催している、介護事務の資格試験です。介護サービス事業所などで利用者と地方自治体へ行う、介護報酬請求業務がスムーズに行える知識・スキルを証明する資格です。また、利用者やその家族へのサービス案内や手続き、費用に関する質問などにも対応できる能力や、ケアマネージャーの作成書類の内容も理解できる能力を評価するもので、介護事務としての仕事の幅を広げることができるでしょう。
介護報酬請求事務技能検定試験は、日本医療事務協会認定の介護事務講座を修了、または受験申請のあった高校・専門学校・短期大学・大学などを卒業しなければ受験することができません。試験は会場受験で、2月、4月、6月、8月、10月、12月に開催され、教材や資料の持ち込みは可能です。
介護管理専門秘書検定資格とは、日本能力開発推進協会が認定している介護事務の資格です。介護報酬請求業務がスムーズに行える技能のほか、受付・相談業務はもちろん、利用者や家族のメンタルサポート業務を行う能力があることを認定されます。また、ケアマネージャー業務のサポートなど、介護事務の仕事の幅を広げることができるでしょう。受験資格は、日本能力開発推進協会が指定する認定教育機関などで行われる教育訓練において、全てのカリキュラムを修了した人が対象で、カリキュラム修了後に在宅で試験を受けるかたちとなります。
介護保険実務管理士とは、日本病院管理教育協会が認定している介護事務の資格です。資格を取得することで、介護報酬給付請求業務に関する技能が認定されます。取得するには、日本病院管理教育協会が指定する介護関連の大学、短期大学、専門学校にて必須カリキュラムを受講し、資格認定試験に合格する必要があります。在宅で資格取得を目指せる資格ではないので、他の資格・試験と比べて少々ハードルの高い資格であるといえるでしょう。
介護保険事務士は、一般財団法人つしま医療福祉研究財団が認定している介護事務の資格です。介護報酬請求事務業務をマスターして、介護サービスの現場での事務実務の専門家であることが認定される資格です。
介護保険事務士を取得するには、つしま医療福祉研究財団が指定する養成校にて、必須のカリキュラムを修了し、認定試験に合格する必要があります。 さらに、介護保険事務士の上位資格として、「介護保険事務士上級」があります。介護保険事務士上級の資格を取得すると、介護事務におけるスキルに加え、介護事務所全体の労務管理能力、介護保険法などの法令制度の知識、介護保険指定事務所になるための手続きの知識などが認定されます。
※各資格・試験の名称は似ていますが、主催、認定している団体が異なるので要注意です。
介護事務に関する主な資格についてご紹介しました。このほかにもまだ、介護事務の資格は存在しています。
介護事務として働くために、資格は必ずしも取得しなければいけないわけではありませんが、取得することで介護分野の知識を深め、仕事の幅を広げることにも繋がるでしょう。また、転職や就職の際にも有利に働くと考えられます。さまざまな資格があるため、自分の目的やライフスタイルに合わせた資格をめざし、学びを選択してみてはいかがでしょうか。