調剤事務の資格|資格の種類や、仕事内容、資格取得のメリットなど紹介

2020.12.16 調剤薬局事務

この記事では、医療・調剤薬局業界で専門性の高い事務スタッフとして活躍できる調剤事務の資格について解説します。

調剤事務の資格とは、正確にいうと「調剤薬局事務」にかかわる資格のことです。調剤薬局の事務にかかわる民間資格は複数ありますが、ここでは就職や転職の際にニーズの高い傾向にある4つの資格と各資格の取得方法について解説します。具体的な仕事内容やメリットなどもあわせて紹介しているため、就職・転職活動などの際に参考にしてください。 (2022年7月時点の情報です。)

調剤事務とは?

調剤事務の資格を活かしてできる仕事とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、主な業務内容や実態などについて具体的に解説します。

調剤事務の仕事内容

調剤事務の主な仕事のひとつが調剤薬局の受付です。医療機関を受診した患者さんが処方箋を持参して調剤薬局を訪れたときに、最初の窓口となる大切な役割を担います。保険証の確認やお薬手帳の手続きなど、患者さんの対応全般に携わる仕事です。

さらに、会計業務のほか、各患者さんの処方箋データの入力、医薬品の発注・検品、レセプトの作成・請求といった事務作業も大事な業務となります。レセプトとは診療にかかった費用や薬代を点数化した診療報酬の明細書です。医療機関や調剤薬局が保険者負担の診療費をすべて受け取るために保険者に提出します。

主な勤務先

調剤事務の資格は、保険調剤業務を取り扱う職場であればさまざまな場所で活かせます。主な勤務先は調剤薬局ですが、保険指定を受けている保険薬局併設のドラッグストアなどで活躍の場があります。

調剤事務の収入

調剤薬局の事務職として仕事についた場合、一般的な年収は250~300万円と言われています。ただし、実際の給与は勤務地域、雇用形態などによって異なります。

たとえば、アルバイトやパートで働く場合、平均時給は800~1,000円程度ですが、派遣社員であれば1,500~1,800円程度といわれています。また、正社員の収入は年齢が上がるにつれて増える傾向にあります。

調剤事務の仕事の魅力

調剤事務の仕事の魅力は、勤め先をみつけやすく働きやすい環境にあることです。日本では少子高齢化が進んでおり、地域医療や在宅医療の重要性が高まっています。医薬分業が推進されるなか、担う役割がより一層大きくなっている存在が調剤薬局です。

処方箋の発行数は年々増え、それに伴い調剤薬局数も増加しています。取り扱う薬品の品目数も増えていることなどから、薬剤師の業務を支える事務員のニーズは高く、求人数も増加傾向にあります。加えて、一般的に働き方を選びやすく定時で帰りやすいため、家庭と仕事の両立を望む人でも働きやすい仕事です。

※出典 医療提供体制を取りまく現状等について|厚生労働省

調剤事務の仕事に向いている人は?

調剤事務の仕事に向いている人はコミュニケーション能力の高い人です。患者さんが訪れる窓口業務や、患者さんと薬剤師の間をつなぐ役割を担っているため、両者に対して適切かつスムーズな対応ができると重宝されます。

また、多様な書類を取り扱うため、管理能力や整理力が高いことも大事なポイントです。薬品に携わることから、ミスのない正確な仕事をこなせる力や姿勢も必須となります。

調剤事務の仕事につくには?

調剤事務の仕事につくためには、企業の採用ページや転職サイトなどに掲載されている求人に応募する方法が一般的です。特に資格を必須としていない仕事であるため、未経験でも応募できる求人はあります。

ただし、実際の就職・転職活動や就職後の実務では資格を取得している人のほうが重宝されます。資格を持っていることによって具体的にどのような点で役立つかについては、この後に紹介します。

調剤事務で資格を取得するメリット

調剤事務の資格を取得することで期待できるメリットとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、主な2つのメリットを紹介します。

就職・転職活動で有利になる

調剤薬局の事務の仕事は、資格を取得している人や経験者でなければ、就けないわけではありません。専門的な資格がない人や未経験者でも就業することは可能です。ただし、知識をまったく持っていない人よりも持っている人のほうが仕事に早く慣れやすく、即戦力になりやすいものです。そのため、資格を取得することは就職や転職活動の際に有利となります。

実務面でも役立つ

調剤薬局事務の資格を取得するために学んだ知識は、実際に業務についた際にも役立ちます。基本的な知識だけでも先に身に付けておけば仕事が覚えやすくなるからです。さらに、法律の改正などがあったときにも事前に基本の知識を持っていれば対応がスムーズになります。

調剤薬局事務の資格の特徴

調剤薬局事務の資格取得を目指すなら、事前に、その特徴を知っておきましょう。ここでは、主な3つの特徴を紹介します。

未経験でも専門知識を得ることができる

調剤薬局事務の資格に厳しい受験資格はありません。そのため、誰でもチャレンジができ、未経験者でも資格取得に向けた学習により専門的な知識を得られます。将来の就職や転職に備えて、自分の強みを持ちたい人にとって魅力のある資格です。

資格の種類ごとに運営団体が異なる

調剤薬局事務の資格は複数あり、その種類ごとに運営団体が異なっています。どの資格も調剤事務のスキルを問うことに変わりはありませんが、運営団体によって資格の名称が異なり、試験の概要も違っているため、どの資格を目指すかを選ぶときや受験の際には注意しましょう。

調剤薬局事務の4つの資格

資格の取得を目指す場合、自分の目的にあった資格を上手に選ぶことが大切です。調剤薬局事務の資格を取得する目的は、「就職や転職の際に強みとなるような資格を取りたい」「長期的に働きたいため、この先もニーズが安定した資格を取りたい」など人によってさまざまです。すでに就業している人が、「より高い知識を身に付けたい」と考えて取得を目指す場合もあるでしょう。

ここでは、さまざまな目的を持つ人が自分にあった資格選びで検討したいおすすめの4つの資格を紹介します。それぞれの資格や試験の概要、合格基準点や合格率などについても解説しているため参考にしてください。(2022年6月時点の情報です。)

調剤事務管理士®

技能認定振興協会(JSMA)が主催する調剤薬局事務の資格が「調剤事務管理士®」です。調剤事務の実務に必要となるスキル全般を証明する資格で、受験資格は特にありません。試験は在宅で毎月実施しています。
試験内容は学科と実技が設けられていて、学科試験は法規、調剤報酬の請求事務、薬の基本的な知識について問うマークシート形式(択一式)の問題となっています。一方、実技で出される問題はレセプト作成に関する内容です。
合格基準は、学科は約80点以上、実技は各作成問題ごとに約60%以上の得点をし、且つ、2問の合計で約80%以上に設定されています。
合格率は約60%で、通信講座などで学習内容をきちんと理解して臨めば合格が可能なレベルです。

調剤報酬請求事務専門士

調剤報酬に関する事務の専門家として活躍できる「調剤報酬請求事務専門士」は一般社団法人専門士検定協会が主催する資格です。教育者やリーダーレベルの1級、中堅社員レベルの2級、新入社員レベルの3級と難易度に応じて3つのレベルがあり、いずれも受験資格はありません。試験は年に2回、全国の会場で受けられるほか、FAXによる通信受験も可能です。

試験内容は全級共通の択一式の学科と、2~3級のみに課される実技があり、1~2級についてはレベルに応じた追加問題もあります。全級共通の学科試験は6科目で、3級はそのうちの基礎知識1科目のみです。実技は処方箋の3症例に関して設問箇所の点数を求める問題が出されます。合格率は3級が約60%、2級が約35~45%、1級が約15~20%です。

医療保険調剤報酬事務士

「医療保険調剤報酬事務士」は医療保険学院が主催する資格です。医療保険学院が毎月1回実施する修了検定試験に合格することで、資格を取得できます。

ただし、修了試験を受けるためには、医療保険学院が行う医療保険調剤報酬事務士のための通信講座を受け、中間テストにも合格しなければなりません。修了試験は自宅で受けられ、不合格となった場合でも受講開始後1年以内であれば再受験できます。

試験科目は学科が医療保険制度と保険請求業務の2科目、実技がレセプト業務1科目です。合格基準点や合格率は公開されていませんが、通信教育の学習内容をきちんと理解しておけば、特に難易度の高い試験ではありません。

調剤事務実務士

「調剤事務実務士」は特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会が主催する資格試験です。

受験資格に条件はありませんが、試験は年に2回、教育指定校と指定団体でしか行われません。そのため、指定する予備校などへの通学が必要となります。試験は学科と実技があり、学科は薬学、医療保険制度、点数算定、接遇マナーの知識を問う問題です。一方、実技では一般、後期、小児、在宅、特定疾患のうち3つの処方箋から調剤報酬の明細書を作成する問題が出ます。

合格の基準は実施した回ごとの受験者偏差値55以上あるいは80%以上の正答とし、合格率は約61%で難易度は標準程度です。

まとめ

調剤薬局の事務はライフスタイルにあわせて長く安定的に働きたい人にとって魅力のある仕事です。調剤薬局事務の資格を取得しておけば、就職や転職活動にも、就職後の実務の際にも役立ちます。

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