DPCとは?医療費の支払い制度の1つ「DPC制度」について簡単に解説

DPCとは?医療費の支払い制度の1つ「DPC制度」について簡単に解説

2023.08.07 医療事務

【医療事務のパイオニアソラスト監修】近年導入している病院も多いDPC制度とは?DPC制度により支払いの算定方法が変わることで、医療現場での過度な医療行為や検査が少なくなったり、入院期間が短くなったりします。

この記事ではDPC制度を使った算定方法や従来の算定方法との違い、DPC制度を使うことで生じるメリット・デメリットについて3つの視点から簡単にわかりやすく紹介します。
DPCという言葉自体聞いたことがあるけど、何を指しているのかわからないという人も、この記事を見ればすぐに理解できるでしょう。

医療事務の仕事をしている人も、これから就職を考えている人も覚えておきたいDPC制度について簡単に説明していきます。

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DPCとは

DPC制度は”Diagnosis Procedure Combination”の略で、「包括医療費支払い制度」とも呼ばれます。

患者の病名や病状、必要な処置や検査などにより入院の内容を1,572種類に分類し(診断群分類)その分類に合わせて医療費を計算する方法です。

通常の入院は、日々の投薬や検査に合わせて入院費を全て出来高で計算しますが、DPC制度では一部の入院費が包括されます。

つまり、日々の投薬や検査の量に関わらず入院費の一部が定額になるということです。

DPC制度を取り入れると

  • ● 病名や治療方法によって医療費が計算されるため、入院前に医療費の目安が分かる
  • ● 薬の増減や追加の処置に関わらず定額制なので、入院費が安くなることがある
  • ● 入院費や入院期間が目安化されているので、医療の効率化や均一化に繋がる

などのメリットがあります。

DPC制度を使った算定方法!従来の出来高支払い制度との違いは?

DPC制度と従来の出来高支払制度との大きな違いは、入院費の一部が定額化されることです。

出来高支払いの場合、検査や投薬の変更により日々の入院費が変動しますが、DPC制度の場合、どんなに投薬数や検査数が増えても費用は一定になります。

手術やリハビリにかかる費用など、一部の費用はDPC制度でも従来と変わらず出来高支払いです。

さらにDPC制度では、診断群分類ごとに入院期間の目安も定められており、入院が長引くと入院費が安くなります。

入院が長引くことによる病院への金銭的なメリットが無くなるため、患者は不要に入院を伸ばされるリスクが減るということです。

DPC制度を導入している病院のみ対応

DPC制度は全国の病院で導入されているわけではありません。

一定の基準をクリアした病院のみが対象となり、DPCを導入している病院は「DPC対象病院」と呼ばれます。

入院時の支払いにDPC制度を希望する場合、事前にDPC対象病院かどうかを確認しておきましょう。

厚生労働省が発表した「DPC対象病院数」によると、DPC対象病院は令和4年4月1日時点で1764病院あるようです。

DPC制度によるメリット・デメリットには何があるのか

DPC制度を利用するメリットとデメリットを、患者、病院、国のそれぞれのケースでまとめました。

DPC制度による患者サイドのメリット・デメリット

DPC対象病院では、診断群分類で定められた日数や処置を基準にした治療が行われます。そのため、かかる病院によっては必要な処置がしっかり受けられなかったり、再入院に繋がるといったケースもあるようです。

しかしDPC制度には、入院費用の目安が事前に分かる、入院期間や処置を必要以上に増やされる心配がないというメリットがあります。

自分の病気や症状にあった適切な医療を効率よく受けられることは、入院する患者の安心感にも繋がるでしょう。

DPC制度による病院サイドのメリット・デメリット

DPC制度を取り入れると、入院日数の減少により病床の稼働率が下がることがあります。

特に地方の医療機関はこの影響を受けやすく、最悪の場合は閉鎖に繋がることもあるようです。

しかしDPC制度を活かせば、日本の医療機関全体で医療の効率化・均一化がしやすくなります。

また、全国のDPC対象病院から集められたデータは「DPCデータ」として閲覧可能です。

公開された他の医療機関のデータを元に自院の強みを見つけられ、課題解決もしやすくなります。

DPC制度による国サイドのメリット・デメリット

DPCは2003年に始まった制度で、普及が進んでいる段階です。

地方の病院での稼働率が下がることなど、まだすべての病院で一定の成果を出すためには課題が残っている制度だと言えます。

しかし今後少子高齢化が進むにつれて心配されている医療費の拡大は、このDPC制度を利用することにより、抑えられるかもしれません。

病院が定められた入院期間内で効率的な処置を選ぶようになるので、医療費が必要以上に上がりにくくなるためです。

DPC対象病院で医療事務として働くならソラストで「DPC講座の教材」を読んで学ぼう!

DPC対象病院では、通常の請求事務とは異なる診療報酬算定が求められます。

診断群分類による包括払いのDPCレセプト作成は、DPC対象病院で働くなら必須のスキルです。

まとめ:DPC制度の知識をアップグレードしていこう

DPC対象病院の数は今後も増えていくことが予想できます。

これからDPC対象病院で働きたい方はもちろん、すでに医療事務として働いていてスキルアップしたいという方も、ぜひDPC制度に関する知識を身につけてみませんか?

仕事や家事のすきま時間で効率よく学びながら、医療現場でのキャリアアップを目指していきましょう!