医療事務の将来性は?医療の現状や今後の需要について
2021.11.20 医療事務
これから医療事務を目指す人や、今後も医療事務として働き続けていこうとする人にとって、将来性や今後の需要は気になる問題ではないでしょうか。 今後の医療業界の動向や、社会の変化によって医療事務の将来性が変わってくることも考えられます。こちらの記事では、医療事務の将来性について、医療業界の現状や今後の需要を踏まえて解説していきます。
2021.11.20 医療事務
これから医療事務を目指す人や、今後も医療事務として働き続けていこうとする人にとって、将来性や今後の需要は気になる問題ではないでしょうか。 今後の医療業界の動向や、社会の変化によって医療事務の将来性が変わってくることも考えられます。こちらの記事では、医療事務の将来性について、医療業界の現状や今後の需要を踏まえて解説していきます。
医療事務が働く医療業界は、他の一般企業などと比べると景気の影響も受けにくく、将来性のある分野であると考えられています。
私たちが生活していくうえで、病院やクリニックといった医療機関は必要不可欠な存在であり、増えていくことはあっても、完全になくなってしまうことはありえないでしょう。また、日本は既に超高齢社会を迎えており、2036年には3人に1人が65歳以上の高齢者になるといわれています。年齢を重ねることによって、次第に身体機能が衰えたり、怪我や病気を抱えたりして、医療機関に通う高齢者がますます増えていくことが予想されます。そのため、今後さらに加速することが予想されている高齢化の影響は、医療事務の変化と将来性を後押しする要因の一つといえるでしょう。
ここからは医療事務の現状と、今後の需要についてみていきましょう。
医療事務の主な仕事内容は、受付・会計業務、レセプト作成・点検、カルテ管理などが挙げられます。
医療事務の雇用は安定しており、比較的勤務時間の変動が少ないことから、女性に人気のある職業となっています。正社員だけでなく、パートや派遣など雇用形態に関して柔軟な対応をしている職場も多くあるようです。
そのため、出産や育児など私生活の変化に対応した働き方を選ぶことができるのも、女性に人気がある理由の一つでしょう。 また医療事務は、資格を有していなくても働くことが可能です。仕事をしながら、医療の専門知識やスキルを身につけられるので、未経験者でも挑戦しやすい仕事なのが特徴でしょう。
医療機関は、患者さんの命を左右することもある現場です。そのため、医療事務にもスピード感のある判断や対応、そして正確性が求められます。決して楽な仕事ではなく、責任感なしでは務まりません。しかしその分、医療事務も医師や看護師たちと同じ医療チームの一員として活躍でき、患者さんの健康を守る非常にやりがいのある仕事なのです。
我が国では、「生産性向上」を目指してさまざまな分野にAIやロボットの導入が進められています。もちろん、医療分野も例外ではなく、受付・会計、レセプト業務といった作業は今後、AIやロボットによる自動化が進んでいくことが考えられています。
野村総合研究所の調査「人工知能やロボット等による代替可能性が高い 100 種の職業」の発表によると、医療事務は、AIやロボットによる代替になる可能性の高い仕事の一つに挙げられています。
すでに、受付や会計は自動受付機や自動精算機で対応している医療施設も増えており、たしかに人間が行うより効率的になる部分もあるでしょう。実際に以前より随分とIT化が進んでいます。しかし、最終的な入力内容の確認は人間が行う必要があり、すべての仕事がAIに取り変わることはないと考えられます。
また、医療機関を利用する患者さんは、何らかの病気や怪我を抱えており、不安な気持ちで来院する人が多くいらっしゃいます。その時、窓口で少しでも不安を和らげられるように応対する、といった人間だからこそできる柔軟な対応は、今後も医療事務にとって大切な業務のひとつであり、必要不可欠であるといえるでしょう。
そして、今後増えていく高齢者は機械の操作が苦手な人も多く、受付でのサポートが必要とされる場面も多くなることが考えられます。
このような視点から、医療事務の中でも、窓口で直接患者さんに寄り添った柔軟な対応ができる人材や、IT化が進んでも人の目で最終確認や判断が必要となる場面において、確かなスキルをもった医療事務のニーズはなくならないといえるでしょう。
これから「高齢化」「AIやロボットの導入推進」といった時代の変化を受けていくなかで、医療事務に求められることも、以前とは変わっていくかもしれません。
今後必要とされる医療事務になるためには、どのような要素が求められるのかについてみていきましょう。
医療機関を利用する患者さんは、心身に何らかの不安を抱えて来院します。その時に、最初に関わるのは窓口にいる医療事務です。
もし、最初の対応が思わしくなければ、その医療機関全体に悪いイメージを持たれてしまうことも少なくありません。つまり、受付を行う医療事務は「医療機関の顔」であり、第一印象が非常に重要となるといえます。
そのため、相手に不快感を与えず、安心と信頼を与えられるような挨拶や身だしなみ、表情、態度といった基本的な医療接遇のスキルが求められます。
また、受付で患者さんから質問や悩みの相談を受けることも多々あるでしょう。医療事務は直接的に診断を下したり、処置をしたりする医療行為はできませんが、患者さんの話を傾聴して、医師や看護師に内容を正確に伝達する対応力が求められます。 待合室で不安で泣いている子どもの気持ちを落ち着かせたり、自動精算機が上手く操作できない高齢者に優しく声かけをしたりと、人間味のあるコミュニケーション能力が必要なのです。
このような接遇力や人間味のあるコミュニケーション能力は、機械ではまかないきれない部分であり、今後はよりいっそう医療事務に求められる部分であるといえるでしょう。
医療事務は、資格がなくても働くことのできる職種ですが、やはり、確かな知識・スキルの証である資格を有している人の需要の方が高いといえるでしょう。
医療事務の資格・試験は数多くあり、認定する民間団体によって内容や難易度に違いがありますが、資格を有していることで医療事務としての知識があるというアピールポイントになります。自分のライフスタイルや今後の方向性に合った資格を取得するのも、選択肢の一つとして考えてもよいかもしれません。
また、診療報酬請求の知識を主とした医療事務の資格にプラスし、接遇力を証明するホスピタルコンシェルジュ®の資格取得を検討するのもよいでしょう。
医療事務の仕事内容は、働く職場によって専門性が異なります。例えば、整形外科であれば怪我の診療に関する専門知識を、内科であれば内臓疾患の診療に関する専門知識を身につけやすい環境にあります。それぞれ特有の傷病名・処置内容・薬剤名等があり、それらの整合性をチェックする知識が必要となります。
また規模の大きな病院であれば、多くの診療科に関する業務経験を積むことが可能です。
このように、業務経験を積んで、自分の得意とする分野や専門性が確立できれば、他の人にはない武器を持っているというアピールにもつなげることができるでしょう。
今回は、医療事務の将来性についてご紹介しました。今後、高齢化がますます加速する我が国では、医療事務の需要が高まっていくことが予想されます。しかし、AIやロボットの導入によって、仕事の自動化も進んでいくことでしょう。そんな中、医療事務には今後、人間にしかできない心配りや、温かみのあるコミュニケーション能力などが求められます。
将来性のある医療分野で働きたいと思っている方、人の役に立てる仕事をしたいと思っている方は、必要とされる知識・スキルと応対力を兼ね備えた医療事務を目指してみてはいかがでしょうか。