資格をとるならどっち?医療事務と介護事務の違い

2021.09.16 医療事務 介護事務

結婚や出産、介護などのライフスタイルが変化するタイミングで、働き方を変えることがあります。そんなとき、『安定した仕事に就きたい』という気持ちから、医療事務や介護事務が気になっている人は多いのではないでしょうか。
『全国に働く場所があり、出産・育児をしても復帰できる』そんな仕事があったら、魅力的ですよね。医療事務はこの条件に当てはまります。

医療事務や介護事務と聞いてどのような仕事をイメージしますか?

医療事務は、病院やクリニックを受診した際、受付の人を思い浮かべるのではないでしょうか。
介護事務はあまり馴染みのない言葉なので、なんとなく介護関係の仕事であるというざっくりとした認識の方も多いと思います。

この記事では、
・医療事務と介護事務の仕事について知りたい
・医療事務と介護事務の違いが知りたい
・医療事務と介護事務のどちらが自分に合っているかわからない
といった方に向けて、医療事務と介護事務の違いを理解し、それぞれの働き方のイメージを持てるような情報をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

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医療事務と介護事務の違い

医療事務と介護事務の違いを一言でいうと『医療保険を取り扱うか、介護保険を取り扱うか』です。

医療保険には2種類あり、1つは「公的医療保険」です。国民皆保険制度により、全国民がいずれかの公的医療保険に加入し、一定レベルの医療を受けることができるというものです。もう1つは民間保険がありますが、こちらは、公的医療保険での内容を補完するために任意で加入するものです。医療事務が主に取り扱うのは国民皆保険制度による公的医療保険です。

病院を受診するときは健康保険証を提示しますよね。この国民皆保険制度のおかげで、医療費の自己負担は3割、残りの7割は国が負担してくれています。医療保険を取り扱うのは病院やクリニック、訪問診療などです。

介護保険は介護が必要になると受けることができるサービスで、サービスを受けるためには要介護認定を受けることが必要です。
介護度によってもサービス内容が変わり、日常生活のサポートやリハビリなどのサービスを受けることができます。
介護保険を取り扱うのは、特別養護老人ホームや訪問介護、デイサービスなどです。訪問看護や介護老人保健施設などは医療と介護の両方を取り扱う施設もあります。

医療事務と介護事務の比較

・職場
医療事務:病院・クリニック・調剤薬局など
介護事務:老人ホーム・通所介護(デイサービス)・訪問介護など

・雇用形態
医療事務:正社員・パート・派遣など
介護事務:正社員・パート・派遣など

・仕事内容
医療事務:診療報酬請求・受付・会計・電話対応・カルテ管理
介護事務:介護報酬請求・利用者リスト管理・会計・電話対応・書類整理

一般的には、病院やクリニックの受付として働くのが医療事務、介護事業所で事務員として働くのが介護事務です。

雇用形態は、勤務先によりますが、医療事務も介護事務も正社員・パート・派遣などがあるため、自分のライフスタイルにあった働き方を選択することができます。出産や育児からの復帰もしやすい傾向にあるといえるでしょう。
地域・勤務先や経験・スキル・仕事内容によって年収には幅があります。

医療事務と介護事務は働く場所に違いがあり、職場によって関わる人にも違いがあります。 医療事務なら病院やクリニックが主な勤務場所となります。そのため、関わる人は患者様・医師・看護師・他の医療事務スタッフなどです。 介護事務なら介護事業所が主な勤務場所になります。そのため、関わる人は利用者様・介護士・看護師・ケアマネジャー・地方自治体の職員などです。

医療事務と介護事務の共通点としては、どちらもある程度のパソコンスキルが必要になるということです。また、コミュニケーションや電話対応のスキルも求められます。

また、医療事務と介護事務の仕事のメインとして報酬請求業務があります。医療事務であれば診療報酬請求、介護事務では介護報酬請求です。この請求業務は複雑で専門的な知識が求められます。医療保険を取り扱うか、介護保険を取り扱うかの違いがあるとお伝えしましたが、それぞれどのようなものなのか、診療報酬請求と介護報酬請求について詳しく解説します。

診療報酬請求

病院やクリニックで患者様は来院のたびに医療費を支払います。この際、患者様の負担は最大3割で、残りの7割以上は健康保険組合や共済組合、市区町村などが負担することになっています。診療報酬請求はこの残りの7割の部分を請求する業務です。診療報酬請求の内容が適切かどうかを審査支払機関が確認し、問題がなければ健康保険組合や共済保険、市区町村から報酬が支払われるという仕組みになっています。診療報酬請求は1か月ごとに行い、必要な書類を作成するのが医療事務の重要な仕事の一つです。

介護報酬請求

介護サービスにおける利用者様の負担は1~3割です。残りの7~9割は市区町村が負担します。介護報酬請求は事業所が国民健康保険団体連合会に報酬を請求することです。介護報酬請求にも審査があり、適切であれば報酬が支払われる仕組みになっています。介護事務は介護報酬請求に必要な書類を作成します。

医療事務と介護事務の特徴・働き方

医療事務の場合

医療事務は働く医療機関によって体制や仕事内容に違いがあります。たとえば、入院施設がある総合病院などは診療科が複数あり、当然患者様の数も多くなります。そのため配属先によって、受付や外来、病棟、保険請求など業務が分けられていることも多いようです。部署異動があることもあり、病院内で様々な経験を積むことができるでしょう。

クリニックは受付・会計・保険請求・電話対応など様々な仕事を同じスタッフで担当することが多いようです。そのため、幅広い知識を身につけることが期待できます。診療報酬請求が一番重要な業務であり、期日までに正確な書類を作成しなければなりません。クリニックでは診療報酬請求業務を専任でやるわけではないので、日々の業務に加えて診療報酬請求業務を遂行することになります。

【クリニック勤務の医療事務の方から伺った1日のスケジュール例】
8時半  出勤:掃除など診療の準備
9時   午前診療:受付・会計業務・電話対応
12時半 休診:休憩
14時  午後診療:受付・会計業務・電話対応
17時  終了
17時半 退勤

介護事務の場合

介護事務は主に介護事業所で電話対応や来客対応、事業所の整備、介護報酬請求、利用者様への請求などを担います。最も重要な業務は介護報酬請求で、決められた期日までに正確な書類を作成します。事業所によっては介護職を兼任することもあり、直接利用者様と関わる場面も多くなります。

【介護老人保健施設で働く方から伺った1日のスケジュール例】
9時  朝礼
9時10分 事務作業・来客対応・電話対応
12時 休憩
13時 事務作業・来客対応・電話対応
18時 退勤

医療事務と介護事務のやりがい

医療・介護は超高齢社会の日本にとって、非常に重要な分野であり、大切な役割を担う存在でもあります。医療・介護を通して、社会に貢献できることをやりがいと感じているという声は多く聞かれます。また、専門的な分野でしか触れることのできない、知識や経験を得ることができることもやりがいにつながります。職場でも専門知識があると、他のスタッフから頼られる場面も多くあるでしょう。

医療事務のやりがいの一つとして、患者様との直接的なコミュニケーションがあります。丁寧で的確な対応により患者様と信頼関係を築くこともできたり、時には、患者様の笑顔に励まされることでしょう。専門的な仕事であり、患者様ともコミュニケーションが取れるのは医療事務ならではです。

介護事務は、医療事務と比べると仕事としての需要は劣るのが現状ですが、関係スタッフや利用者様とのやり取りでやりがいを感じることができるでしょう。介護事務としての対応の速さや正確さなど、自分の仕事によって職場に貢献でき、社会にも貢献できるのが介護事務の醍醐味です。 また何よりも、介護関連の知識は自分の家族のために生涯役立てることができるのが大きな魅力です。

まとめ

医療事務と介護事務の違いについて理解できましたでしょうか。共通点もありますが、それぞれの違いを一言でまとめると、 『医療事務は病院やクリニックで働き、患者様の対応や会計、診療報酬請求をする仕事』
『介護事務は介護事業所で働き、電話対応や会計など事務全般と、介護報酬請求をする仕事』 となります。

自分が働くことを想像してみて、将来どんなスキルや知識が欲しいのか、どんな人と働きたいのかを考えてみるのもいいですね。医療事務と介護事務の違いを知ったうえで、自分に合った資格を選んでください。きっとあなたにぴったりの仕事がみつかるはずです。