医療情報技師とは?仕事内容や求人、就職・転職に必要な資格をあわせて紹介

医療情報技師とは?仕事内容や求人、就職・転職に必要な資格をあわせて紹介

2023.08.07 医療事務

【医療事務のパイオニアソラスト監修】医療分野に特化したIT(インフォメーション・テクノロジー)の仕事を担う「医療情報技師」をご存じですか?
近年、医療機器や技術の発展にあわせ医療情報技師の需要が増し、医療関係で働きたいと考えている人なら知っておきたい職種です。

医療情報技師として働くにあたって必ずしも資格は必要ありませんが、資格をとることによって就職・転職しやすくなり、資格によってはキャリアアップに繋がるので同時にチェックしておきましょう。

この記事では医療情報技師の仕事内容やとっておきたい資格について紹介していきます。

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テクノロジー向上にあわせてIT関連の仕事が医療現場でも欠かせない

医療情報技師という仕事をご存じでしょうか。

近年のテクノロジー技術の向上に伴って、医療機関でもさまざまなITシステムが使われるようになりました。

例えば患者さんの情報を管理するシステムとなる電子カルテをはじめ、予約管理システムや診療報酬の算定システム、ナースコールのシステムなどがあります。

これらのシステムがあるからこそ病院の診療や運営が効率的になり、患者や医師、看護師などが安心して働くことができるのではないでしょうか。

通常、企業などのシステムの開発や点検、運営などはシステムエンジニアやプログラミング技師が担当します。

しかし医療機関のシステムは、システムを開発運営するにあたって医療従事者とコミュニケーションをとる必要があります。その中で医療専門用語や報酬の算定など医療全体の専門知識が求められることが常です。

そこで注目したいのが「医療情報技師」という職業です。

医療情報技師とは

医療情報技師とは、医療機関におけるデータ開発や管理、トラブルを解決する技術者のことをいいます。

日本医療情報学会は、医療情報技師について以下のように定義しています。

保健医療福祉専門職の一員として医療の特質をふまえ、最適な情報処理技術にもとづき医療情報を安全かつ有効に活用・提供することができる知識・技術および資質を有する者

引用:日本医療情報学会 医療情報技師育成部会

どんどんIT化が進んでいる中で、医療機関も例外ではありません。

しかし医療機関で働く医療スタッフが皆ITに詳しく、システムを使いこなせるわけではないですよね。

そのため医療情報技師には、優れた情報処理技術と、医療分野にまつわる専門知識が求められます。

システムエンジニアという職業から独立して医療の知識やスキルを持った技術者が「医療情報技師」ということになります。

医療情報技師の主な仕事内容

医療情報技師の仕事は、主に電子カルテなどのシステムを作ったり、システムの不具合を解決したりする仕事です。

さまざまなシステムにより、医療機関は効率的に運営されています。

しかしこれらのシステムがダウンしてしまうと、運営が滞るだけでなくときには患者の命にかかわることも起こりかねません。

そのため医療情報技師はシステムの開発だけでなく、セキュリティ対策やシステムの保守・点検も行います。

医療情報技師の職場は?どんな場所で働けるか

医療情報技師の主な勤務先は、医療情報システムの開発会社や、医療系コンサルティング会社、総合病院や医療センターなどです。

医療情報技師育成部会の統計によると、2022年の医療情報技師能力検定合格者のうち約45パーセントが企業に、約35パーセントが医療機関に勤務しています。

医療情報技師は無資格でもなれる?医療情報技師に有利な資格3つ

医療情報技師の資格は民間資格のため、働くために必ずしも取得していないといけないわけではありません。

しかし、医療情報技師の求人の倍率が非常に高いため、資格取得がかなり有利に働きます。

医療情報技師への就職や転職に向けて、ほとんどの人が資格取得しているので、無資格だと資格保有者以上のアピールポイントが必要になるでしょう。

とはいえ運よく実績を積むことができれば、無資格でも必要な人材として重宝されます。

実績、実務経験重視であることには違いありません。

ここで、医療情報技師になるために有利な資格を3つご紹介します。

医療情報技師能力検定

まずはじめに目指すべきは医療情報技師育成部会が主催する「医療情報技師能力検定」です。

資格取得者は、医療の質と安全向上のために、医療の特質をふまえ最適な情報処理技術を用いて、医療情報を安全かつ適切に管理・活用・提供することができる人材ということになります。

医療情報技師として、十分な能力や資質があるということを示す資格です。

■試験概要

試験名医療情報技師能力検定試験
試験日時年1回 8月ごろ実施
試験会場北海道 宮城県 東京都 新潟県 石川県 愛知県 大阪府岡山県 広島県 香川県 福岡県 鹿児島県 沖縄県
受検資格不問
受検科目医学・医療系情報処理技術系医療情報システム系
試験方法マークシート方式による多肢選択試験
試験時間情報処理系 60分医療システム系 90分医学・医療系 60分
科目合格制度について受検して合格した科目は「科目合格」として2年間有効。※「医療情報技師」として認定されるには3科目全ての合格が必要
出願期間・出願方法医療情報技師育成部会のWEBサイトから申込(4月~6月ごろ)
検定料15,000円(税込)※科目合格している人は1科目2科目問わず13,000円(税込)
合格発表10月ごろWEBサイトに掲載

■合格率

過去5年の医療情報技師能力検定試験の認定者数を見ると、合格率は平均して約35%でした。

3人に1人が合格しており、難易度は高い試験といえます。

上級医療情報技師能力検定

上級医療情報技師は、医療情報技師育成部会が主催する検定です。幅広い知識と豊富な経験を持ち、総合的に医療業界におけるIT化や情報の利活用を行える人材のことです。

医療情報技師の上位資格にあたり、地域医療連携や地域包括ケア、オンライン診療など時代とともに生まれる新たな医療提供の形にリーダーとして取り組むことを期待されます。

■試験概要

【上級医療情報技師能力検定試験 一次試験】

試験名上級医療情報技師能力検定試験 一次試験
試験日時年1回 8月ごろ実施
試験会場北海道 宮城県 東京都 新潟県 石川県 愛知県 大阪府岡山県 広島県 香川県 福岡県 鹿児島県 沖縄県
受検資格次の1)、2)のいずれも満たすこと
1)医療情報技師の資格を有すること
2)次のA、Bのうちいずれかを満たすことA.医療情報システムに関する5年以上の職務経験を有することB.情報システムに関する5年以上の職務経験を有し  かつ医療情報システムに関する職務経験(期間は問わない)を有すること
試験内容上級医療情報技師の到達目標(GIO・SBOs ver.1.4)に基づき出題
試験方法マークシート方式・記述方式による筆記試験および小論文試験(800~1000文字)
試験時間午前試験:マークシート方式での筆記試験 60分午後Ⅰ試験:マークシート方式・記述方式での筆記試験 90分午後Ⅱ試験:小論文試験 90分
合格者保留制度一次試験の合格は2年間有効※午前、午後Ⅰ、午後Ⅱ試験のすべての合格をもって一次試験の合格とする
出願期間・出願方法医療情報技師育成部会のWEBサイトから申込(4月~6月ごろ)
検定料15,000円(税込)
合格発表10月ごろWEBサイトに掲載

【上級医療情報技師能力検定試験 二次試験】

試験名上級医療情報技師能力検定試験 二次試験
試験日時年1回 12月ごろ実施
試験会場東京都 大阪府
受検資格2023年度・2022年度・2021年度 上級医療情報技師能力検定試験一次試験の合格者※医療情報技師の資格を有すること
試験内容面接試験の評価の観点1.医療情報に関する活動履歴書に記載された内容から、期待する実務経験を有しているか。2.分析力・問題解決力・調整力・統率力・協調性など、現場での実務能力はあるか。3.コミュニケーション力やプレゼンテーション力はあるか。4.将来目標や将来展望(ビジョン)を説明できるか。5.面接態度は適切か。
試験方法医療情報に関する活動履歴書にもとづく個人別面接試験※個人別面接試験では1名の受検者に対して3名の面接員が面接を行う
合格者保留制度一次試験の合格は2年間有効※午前、午後Ⅰ、午後Ⅱ試験のすべての合格をもって一次試験の合格とする
出願期間・出願方法医療情報技師育成部会のWEBサイトから申込(4月~6月ごろ)
検定料15,000円(税込)
合格発表翌2月ごろWEBサイトに掲載

■合格率

上級となると、合格率は約20%となり、一気に下がります。

1次試験に受かってしまえば、2次試験の合格者は約90%となり、合格しやすい傾向にあります。

医療情報基礎知識検定

医療情報基礎知識検定は、同じく医療情報技師育成部会が主催しています。医療情報にまつわる基礎知識の理解度を測る検定です。

業務として医療情報システムを使うことがある人、患者情報・健康情報などの処理に携わる人などを対象に、受検者が自身の基本的な知識レベルを客観的に評価することを目的としています。

今後医療情報技師能力検定の受検を目指す人や、医療分野への就職・転職を希望する人、またすでに医療機関で働いている人も医療情報基礎知識検定を受検しておくとよいでしょう。

■試験概要

試験名医療情報基礎知識検定試験
試験日時年2回実施※2023年6月と11月
試験会場北海道 宮城県 栃木県 千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 石川県 愛知県 三重県 京都府 大阪府 岡山県 広島県 福岡県 大分県 鹿児島県
受検資格不問
試験科目医療情報基礎知識医療情報を扱う人々が共通に持っておくべき医療情報に関する基礎的な知識を範囲とする1.医療制度と医療関連法規2.病院業務と病院の運営管理3.医療情報の特性と医療の情報倫理4.コンピュータの基礎5.情報システムの基盤技術6.医療情報システムの構成と機能7.医療情報の標準化と活用
試験方法四肢択一の問題80問、マークシート方式※得点率75%(80問中60問の正解)をもって合格とする
試験時間60分
科目合格制度について受検して合格した科目は「科目合格」として2年間有効。※「医療情報技師」として認定されるには3科目全ての合格が必要
出願期間・出願方法医療情報技師育成部会のWEBサイトから申込(4月~6月ごろ)
検定料5,000円(税込)
合格発表約1ヶ月後WEBサイトに掲載

■合格率

合格率は5年平均で約76%と比較的高い傾向にあります。

医療事務から医療情報技師へステップアップする人も多い! 

現在医療事務として働いている人が、ステップアップで医療情報技師を目指す人も多くいます。

すでに医療のノウハウを理解しているため、プラスαでITやシステムの知識、スキルを磨くことができると医療情報技師になることが可能です。

また、システムエンジニアが医療の基礎知識を学んで医療情報技師になることも。

すでにスキルを持った人にとって、他の知識を学ぶことで自分自身がステップアップし、転職にも有利に働くでしょう。

まとめ:医療情報技師は医療技術の発展に比例して需要が高まっていく将来に欠かせない仕事

医療情報技師は、医療情報の増加、医療機器技術の向上にともない医療業界で注目されている比較的新しい資格です。

今後も医療技術はどんどん発展していくので、それに比例して医療情報技師の需要も高まっていくことでしょう。

将来、医療情報技師の仕事は、医療機関には欠かせない仕事になるはずです。

ぜひ資格取得に取り組んでみましょう。