介護の接遇マナーとは?基本の5原則や必要性を解説
2023.07.20 介護事務
その他
【医療事務のパイオニアソラスト監修】介護職での接遇マナーは、利用者やその家族からの信頼を得るため、また、利用者の尊厳と個性を尊重するために不可欠です。これは、介護サービスの品質を高め、利用者の満足度を向上させるための重要なステップとなります。
この記事では、接遇マナーの5原則を深く掘り下げ、接遇の必要性やメリットについて解説します。
これらの原則を理解し、接遇力を磨くことで、あなたの介護職における接遇マナーは大きく向上するでしょう。
介護職で使用される接遇とは
「接遇」には、おもてなしの心を持って相手に接するという意味があります。「接客」との比較でよく使われますが、接客は顧客対応であり「もてなす」という意味合いは強くありません。
介護職で使われる「接遇」とは、おもてなしの心で利用者と接して信頼関係を築くことです。
コミュニケーションを取る際は、言葉遣いや表情、身だしなみ、態度などで印象が大きく変わるもの。
おもてなしの心で相手に寄り添う気持ちを持って接することが大切です。
【介護】接遇マナー5原則
介護職において、利用者やご家族と良い関係を築くのは重要なポイントです。基本的な接遇マナーを理解しておきましょう。
【接遇マナー5原則】
- 1. 挨拶
- 2. 表情(笑顔)
- 3. 身だしなみ
- 4. 態度
- 5. 言葉遣い
以上が接遇の基本となる5項目です。
それぞれ紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
挨拶
挨拶はコミュニケーションの基本ですよね。良い挨拶は良い印象を与えます。
介護現場では利用者やご家族にはもちろん、職員同士も元気に明るい声で挨拶をしましょう。
ただし、TPOをわきまえることが大切です。
元気な挨拶は気持ちの良いものですが、室内で大きすぎる声を出すと相手が驚いてしまいます。
中には恐怖感を覚える介護者の方もいるでしょう。
ハキハキと適切な音量で元気に挨拶をしましょう。
表情(笑顔)
コミュニケーションは視覚が大きな役割を持っています。表情から感情を読み取るため、穏やかな笑顔を心がけましょう。
たとえば、会話をしている相手が眉間にしわをよせていたり、無表情だったりするとどんな印象を持ちますか?悩み事があるのか?疲れているのか?怒っているのか?と不安や嫌悪感を抱かれる原因になります。
話しやすい雰囲気を作るためにも、利用者への声かけをおこなう際には注意が必要です。
特に介護職では利用者やご家族との信頼関係は大切です。
誤解を与えることが無いよう、自然な笑顔・穏やかな表情を心がけたいですね。
身だしなみ
介護職における身だしなみは、接遇マナーだけでなく、事故を防ぐ役割があります。第一印象を左右するポイントでもありますね。
制服の着こなしや頭髪に清潔感があるか、鏡を見てチェックしてみてください。メイクも場に応じて配慮しておきたいですね。香水は絶対にNGなので、気をつけましょう。
また、長い髪をまとめたり、爪を短く切ったり、アクセサリーを外したりといったものは、事故のリスクヘッジにつながる理由もあります。長い爪や鋭利なアクセサリーなどで利用者を傷つけることのないようにしたいものです。
利用者に触れることが多い介護職では、清潔感と安全を重視した身だしなみが求められます。
態度
態度は、相手への接し方以外にも、歩き方や立ち方、ものの受け渡しの仕方などの立ち振る舞い全般を言います。利用者やご家族への接し方は問題なくとも、歩き方や立ち方がだらしなかったり、ものの受け渡しが乱雑だと印象は悪くなります。
表情と同じように、態度からも多くの感情を読み取るので注意したいですね。
忙しいことが多い介護職ですが、ものは両手で受け渡す、背筋を伸ばすといった簡単なことだけでも印象は良くなるもの。
少し意識すると印象がよくなるので、ぜひ今日から取り入れてみてください。
言葉遣い
介護職における言葉遣いの基本は敬語です。
ただし、堅苦しくなりすぎるのも良くありません。介護現場は利用者の多くが生活の場としているからです。
認知症の人にはジェスチャーを使い、わかりやすい言葉を選びましょう。
介護スタッフと利用者間に上下関係を生まないように配慮した言葉遣いが求められます。
利用者のプライドや尊厳を傷つけてしまうことがないようにしましょう。
介護に接遇力が必要な理由
なぜ、介護に接遇力が必要なのでしょうか?
理由は3つあります。
- 1. 利用者やそのご家族との信頼関係を築くため
- 2. 利用者やそのご家族の不安を取り除き、安心を与えるため
- 3. 利用者の尊厳を守るため
それぞれ詳しく見ていきましょう。
利用者やそのご家族との信頼関係を築くため
接遇マナーを守りサービス提供をおこなうことで、利用者やご家族との信頼関係が築きやすくなります。介護技術や知識があったとしても、接遇マナーが守れていないと印象が悪くなってしまいます。
利用者やご家族に不信感を与えないためにも、接遇マナーが大切というわけですね。
信頼関係を築けていないと、介護拒否や思わぬ事故などのトラブルが発生しやすくなります。今一度、自らの接遇マナーを見直しておきたいところですね。
利用者やそのご家族の不安を取り除き、安心を与えるため
介護拒否は不安からくるものです。
接遇マナーをなおざりにした介護スタッフに、不信感を抱いた利用者が介護拒否になることもあります。
利用者やご家族は多かれ少なかれ不安な気持ちがあるのです。
特に利用者は、介護スタッフに自分の身体を預ける場合がほとんど。信頼できる相手でなければ不安ですよね。
安心感を持って過ごしていただくためにも、接遇マナーが重要です。
利用者の尊厳を守るため
介護現場では、利用者の尊厳を守ってサービス提供することが求められます。
言葉遣いを例に取ると、行動を制限する言葉があげられます。
「待っていてください。」「これをしないでください。」などがそうです。
スピーチロックと言われ、言葉の拘束です。
利用者の尊厳を守るため、「〇〇していただけますか?」「〇〇をしているので、あと〇分待っていてもらえますか?」などと言い換えて伝えましょう。
介護接遇の重要なポイントは「目線と傾聴」
介護接遇のポイントは「目線と傾聴」です。
利用者とコミュニケーションを取る場合、目線の高さを合わせてみてください。車椅子に座っていたり、ベッドに横になっていたりするときは、しゃがんで目線を合わせます。
介護者は利用者より高い位置に目線があることが多いですが、場合によっては利用者に恐怖感を与えてしまうからです。中には、失礼と感じる利用者もいるかもしれないですね。
また、傾聴の姿勢を持つことも大切です。
傾聴とは話を聞くことですが、相手の気持ちに寄り添い理解者になろうとすることです。
忙しい介護現場では難しい場合もありますが、傾聴の姿勢は利用者のみならずご家族や職員同士の信頼関係をも生みだすテクニックです。
介護接遇力を高めるメリット
介護接遇力を高めるメリットは大きく3つあります。
- 1. 利用者が安心してサービスを利用できる
- 2. スキルアップできるので自身の評価が高くなる
- 3. 職場の雰囲気や人間関係が良くなる
1つずつ詳細を見てみましょう。
利用者が安心してサービスを利用できる
前述の通り、接遇マナーを守って利用者と接すると、信頼関係が築きやすくなります。
介護者と利用者が密接することの多い介護現場では、信頼関係が必須。信頼関係がないと、介護拒否や抵抗による転倒やケガなどのリスクが上がります。
介護接遇力を高めれば、利用者に安心してサービスを利用してもらえます。
スキルアップできるので自身の評価が高くなる
接遇マナーは介護の基本です。高い介護接遇力があれば、介護職員としての活躍の場が広がります。
接遇マナーを守ることで利用者やご家族、職員との信頼関係が築けていれば、自分に対する評価も良くなるはずです。職場にとっても欠かせない人材になりやすく、結果的にスキルアップにつながるというわけです。
自身にとってもメリットが大きいので、介護接遇力を高めていきましょう。
職場の雰囲気や人間関係が良くなる
接遇マナーを守って対応していると、おのずとコミュニケーションがスムーズになります。これは、利用者やご家族はもちろん、介護職員同士にも当てはまることです。
職場の雰囲気や人間関係が円滑だと、連携が取りやすくなりますよね。
利用者やご家族にも雰囲気のいい職場の空気は伝わるものです。
質の高いサービスを提供するうえでも、接遇力はぜひ高めておきたいスキルといえます。
まとめ:介護業界に必要な接遇力を高めて利用者にリスペクトを!
介護現場では利用者へ介護サービスの提供をおこないます。スムーズなサービス提供には、信頼関係の構築が必須です。
それは、毎日の挨拶や態度、身だしなみなどの接遇マナーで変わってくるものです。
接遇マナーを守って対応していると、利用者やご家族と信頼関係が築けます。安心してケアを受けてもらうことができるのです。
また、介護接遇力が高いと自身のスキルアップにつながったり、職員同士の連携強化にも直結します。
利用者やご家族をリスペクトし、安心してサービスを受けてもらえるように接遇マナーをチェックして現場で活かしてみてください。