
医療事務の仕事や資格を取るという話をすると、20代や30代など、比較的若い方を想像する方も多いと思います。私自身、40代までは自分が「医療事務」の仕事をしたり、そのための資格を取るということは考えてもいませんでした。
私が医療機関の仕事を始めたのは今から約10年前、非常勤で、しかも医療事務ではなく「総務」でのお仕事でした。実際に働き始めると1年間で様々な業務を経験することになりました。例えば、患者様や診療に関する情報を管理する専門チームでの登録業務や、複雑な対応が求められる入院クラーク、さらにはその地域で他の施設や機関と連携する業務など実に様々です。そのうち、医局で医師の事務的な部分のサポート業務も担当することになりました。いろいろなことを経験する中で、あらためて自分の年齢的なことや体力的なことを考えるうちに、「医師事務作業補助業務」を軸に働いていきたいと思うようになり、転職を決意しました。この時、私はすでに50代になっていました。
これまでの経験も認められ、比較的規模が大きい病院で内定をいただき、希望通り医師事務作業補助者として書類の作成や手術登録業務で忙しい毎日を過ごしていました。 手続きの方法や手順は決まっていますから、その通りやればいい・・・とも言えますが、そう簡単にはいきません。
診療報酬の算定にはどの病院もミスやトラブルがないよう、大変な危機感をもっているところです。私自身、責任感もありますので、日ごろから「診療報酬の点数本」を自分でひいて調べながら正確さを重視して仕事に取り組んでいました。こうして日々医師の横に座り、休日加算や各種コードを記入する中で、もっとスムーズに素早く進めるためには、「診療報酬の知識があったほうがいい・・」と感じるようになっていったのです。
それとあわせて、やはり気になったのは自分の「年齢」でした。「年齢が高いから転職が無理」とか「資格を取っても無駄」ということではなく、年齢が高いからこそ、雇用が不安定な時代だからこそ、この先も「必要だ」と思ってもらえる人にならなければ、この仕事は続けていけないと思うようになったのです。
もちろん、「医師事務作業補助者」の資格は勤務先の病院で取得させてもらっていましたので、その時点で「資格」は手に入れていました。しかし、それだけでは「診療報酬を理解している」とは言えないことにも気づいていました。さらに私が恵まれていたのは、同僚が診療報酬に関する高いレベルの資格を持っていた人がいたという点です。同僚と仕事をする中で、専門的な内容も日常会話の中で話ができることの大切さ、そして、私もそうありたいと思える環境だったことは、私にとってとてもプラスだったと思います。そこで、医療事務講座の受講を決意しました。
ここまで「よかったこと」ばかりかいていますが、実際に通信講座を始めてからはそう簡単ではありませんでした。仕事の繁忙期や家庭の事情も重なり、途中1~2ヵ月学習が進まない時期もありましたし、実際「もうだめかも」と思うこともありました。だけど必ずやり切るという目標をもとに、5ヵ月以内に講座を修了し、無事に医療事務管理士®の資格を取得することができました。

資格を取得して何が変わったのか。それは「自信がついた」ということだとおもいます。
新人さんの指導でも、以前は「聞かれたらどうしよう」「うまく説明できない」ということもありましたが、今は違います。「聞かれても困らない。」「根拠をもって説明できる。」この積み重ねが、この先にもつながるという実感もあります。 50代だから無理ではなく、50代の大人だからこそ本当に求められることをしっかり考えて、現場で頼られる存在となれるよう、これからもがんばっていきたいと思います。