診療情報管理士とは?仕事内容や資格の取得方法について

2022.01.20 医療事務

医療機関では、医師や看護師をはじめ多くのスタッフが働いていますが、その中に「診療情報管理士」という職種があります。あまり知られていないかもしれませんが、診療情報管理士は患者さんの情報を管理する上で重要な役割を担っています。今回は、診療情報管理士について紹介します。

診療情報管理士とは?

診療情報管理士とは、診療をとおして患者さんから得た情報が記載されたカルテを管理したり、診療情報の分析を行ったりする医療の専門職です。英語表記ではHIM(Health Information Manager) と呼ばれています。
医療の安全管理や病院の経営管理にも関わる重要なポジションであり、今後も需要が高まっていくといわれている職種のひとつです。
診療情報管理士は、四病院団体協議会(一般社団法人日本病院会、公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会、公益社団法人日本精神科病院協会)と、公益社団法人医療研修推進財団によって共同で認定された資格です。診療情報管理士認定者は41,000人を超え(2021年現在)、さまざまな医療機関で活躍しています。  

診療情報管理士の仕事内容

診療情報管理士は、患者さんの診療情報が記載されたカルテの管理や分析を行う専門職で、主な仕事内容は以下の4つに分けられます。

カルテ管理・データベース化

患者さんに行った医療行為や診療内容が記載されたカルテ、検査結果などの内容を精査し、データベースに登録します。診療情報管理士が行うこの業務を「ICDコーディング」といい、カルテに記載された病名を世界共通のルールに従ってコード化していく作業です。「ICD」とはWHO(国際保健機関)の作成している国際疾病分類を指し、これは世界で12万以上もあるといわれる病名を国際的に統一した基準で定めたもので、疾病の国際比較や情報管理の統一化に活用されています。

サマリー・点検報告書の作成

サマリーとは、カルテに記載された患者さんの詳細な情報をもとに、病歴や治療歴の内容を要約してまとめた資料です。患者さんが退院や転院をする際に、次の受け入れ先へ情報を共有するために作成されます。基本的には医師が作成しますが、そのサマリーの最終点検を行うのが診療情報管理士の業務であり、不備や記入漏れがあった場合は医師へ訂正を依頼します。
また、診療情報管理士は毎月作成されたサマリーをもとに患者情報の統計を取り、点検報告書を作成して、病院長へ提出をする業務も担っています。

がん登録

がん登録も、診療情報管理士の重要な業務のひとつです。 この業務は、2013年に「がん登録推進法」が成立され、医療機関から各都道府県へがん患者の情報を届け出ることが義務付けられたため、行われるようになりました。
がん登録で提出する情報は、以下の内容となります。
・がん患者の氏名・性別・生年月日
・届け出を行った医療機関名
・がんと診断された日
・がんの発見経緯
・がんの種類、進行度
・治療内容
・居住地
・生存確認情報

がん登録を行う際は、個人情報に配慮しながら進めていかなくてはなりません。そのため、個人情報保護法に基づいて、責任を持ち業務を行っていくことが求められます。

DPC業務

DPC(Diagnosis Procedure Combination)は「診断群分類包括評価」と呼ばれ、診断群分類によって患者さんの1日あたりの入院費を定める計算方式です。 診断群分類は、患者さんの傷病名や治療内容などによって決まります。
カルテから傷病名や医療行為を整理し、適切な分類を行うことは、診療情報管理士の重要な役割となります。  

診療情報管理士になるには

診療情報管理士認定試験を受験するためには、あらかじめ定められた条件を満たしている必要があります。
受験資格は以下の2通りです。
・一般社団法人日本病院会が認定する大学・専門学校に通いカリキュラムを修了すること
・一般社団法人日本病院会が実施する2年間の通信教育を修了すること

なお、通信教育を受講する場合は以下の条件を満たしている必要があります。
・原則として2年制以上の短期大学または専門学校卒以上の学歴を有する者
・現在、病院に勤務している者は、当分の間、高卒者でもよい

また、通信教育の修業期間として基礎課程1年、専門課程1年で計2年と定められていますが、以下の資格を有している場合は専門課程への編入が可能であり、基礎課程の試験が免除となります。よって通信教育は1年で修了することができます。
医師、歯科医師、看護師※(保健師、助産師)、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師のいずれかの日本国の免許を有する者 
※准看護師を除く  

診療情報管理士になるメリット

診療情報管理士の資格を取得することで活躍の場が広がり、さまざまなメリットがあるといえます。具体的なメリットについてみていきましょう。

将来性

近年では国の方針により、救急医療機関を中心として「DPC(診断群分類包括評価)」による診療報酬の導入が進められています。
DPCによって診療報酬を得るには、診療情報管理士によるデータ管理が必要になります。
また、多くの医療機関で電子カルテの導入が進められていることから、診療情報管理士のスキルが求められる場面も増えています。このような背景からも、診療情報管理士の需要は今後増えていくことが考えられ、将来性が見込める職業であるといえるでしょう。

給料面

診療情報管理士の資格を取得することで、医療の専門知識やカルテ・サマリーなど診療情報に関する知識、データ処理能力などを有していることが認定されます。また、難易度が高い資格試験であるため、一般の医療事務よりも給料面で優遇される傾向にあるようです。取得するのは決して簡単ではありませんが、給料水準が高いということは大きなメリットとして挙げられるでしょう。

替えのきかない専門職である

診療情報管理士は、医療の専門知識だけでなく、ITに関する知識や技術も身につけておく必要がある専門職で、誰でもできる職業ではありません。医療現場において替えのきかないポジションであるため、職場においても重宝されるでしょう。

勤務形態が安定している

看護師や介護士のように、夜勤の時間帯の業務はないため、勤務時間は比較的安定しているといえます。
また、休日も一般の医療事務と同じように取得できることがほとんどのようなので、プライベートも充実させることができるでしょう。

まとめ

診療情報管理士について、いろいろな視点から紹介してきました。近年では、医療の質を向上すべく、それぞれの職種の専門性が求められるようになってきています。医療分野のIT化が進められる中、医療の重要な情報を一元管理する診療情報管理士は、今後の医療の現場においてますます欠かせない存在となっていくことでしょう。
診療情報管理士の資格を取得するのは決して簡単なことではありませんが、今後も需要が高まっていくと予想される資格の一つに挙げられるので、興味がある方は資格取得を検討してみてください。

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